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勢い増すシリア政府、分裂する反体制派 米国の動向は・・・?
依然として終結の気配のないシリア内戦。政府軍・反体制派ともに、勝利への重要なファクターとして、同盟国からの支援内容が占める割合が大きくなりつつある。
政府軍は、ロシアやイラン、レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラから多大な軍事支援を受けて復活し、勢力を拡大。一方、穏便な解決策を模索し続ける欧米が支援する反体制派は、戦力面で劣勢になりつつあり、内部対立の声も聞こえ始めている。 海外各紙では双方の状況を追っている。
【政府軍、次なる狙いはアレッポ奪還】
ヒズボラの指揮官は、フィナンシャル・タイムズ紙の取材に対して、政府軍の次なる狙いはシリア第2の都市アレッポの奪還であると語っている。レバノン国境付近のクサイルに引き続き、トルコとの国境にある地域を獲得することで、反体制派の武器・物資供給ルートのさらなる遮断を狙っているとみられる。
実際、シリア人権監視団からアレッポ付近での衝突が報告されている他、国内メディアでも、近くアレッポで激戦が繰り広げられることになるとの予測が報じられているようだ。
反体制派の中では内部対立が生じており、トルコでは反政府デモがいまだ鎮静の気配が見えないため、勢いのある政府軍にとっては今が絶好のチャンスだとヒズボラ指揮官は意気込んでいるという。政府軍は、アレッポの戦いではヒズボラの大々的な介入はないとしているものの、劣勢に陥れば彼らの参戦もあるとも述べている。
シリアでは一般人への暴行・虐殺も問題となっており、先日奪還されたクサイルから避難しようとした人々のうち100人程が殺害されたとも伝えられている。政府側も、アレッポ付近の地域でヒズボラが虐殺を行ったことを認めているという。強力な味方ではあるが国際的な非難を招きかねない諸刃の剣と言える。
【反体制派、欧米とさえも対立か】
アサド政権が勢力を増す中では、米国とロシアが開催準備を進めている国際会議への出席は無意味だとして、反体制派の最高軍事評議会司令官サレム・イドリス氏は、話し合いに応じない意向を明らかにしているとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。
同氏は、まずは欧米による武器提供によって、政府軍と対等に戦える体制を作り上げてからでないと交渉は不利なままだと主張しているという。
また、政府軍を支持しているロシアやイラン、ヒズボラなどが「戦いに勝つ」ことを目的にしていることに対して、反体制派を支持する欧米は「話し合いによる和解」というスタンスであることに、頼りなさと苛立ちを感じざるを得ないようだ。今では、過激派と懸念されていたヌスラ前線が大きな役割を果たしており、人々の信頼を獲得しているとも訴えた。
アサド政権優勢へと状況が変わりつつある中で、武器支援を求められている米国でも、今後の方針に揺らぎが出始めているようだとウォール・ストリート・ジャーナル紙は注目している。
ホワイトハウスでは政府内会議が行われており、以前に比べて武器提供に踏み切るべきだとする政府高官が多くなってきているという。
しかし、サウジアラビアやカタールなどが既に大量の武器を提供している状況で、今さら米国が追加供給したところで事態は大きく変わらない上に、過激派の手に渡って悪用されるリスクがより大きくなっていると反対する声も変わらずに大きいという。なかなか結論の出ない米国の動向が、今後の趨勢を左右しそうだ。
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※この記事はNewSphereより提供を受けて配信しています。
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