【忠田公夫の経済&マーケット展望】日経平均は09年3月からの上昇率は米独と肩を並べる

2013年6月10日 13:35

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■ファンダメンタルズ、市場内部要因で底打ち確認

  5月7日付けで、「上昇トレンドは米国の量的緩和縮小に舵を切るまで継続」と記したが、日本時間の5月22日から23日未明にかけて、FRBのバーナンキ議長が議会証言の中で、「今後数回のFOMCで資産購入ペースの減速もあり得る」と述べたため、米10年国債の金利が1.93%から2.03%台に急騰。グローバルに大量の資金運用を行うヘッジファンドが機敏に反応した。

  リーマンショック後の「100年に一度の危機」と形容された苦境から今日まで回復させた原動力は、米国の量的緩和であった。この緩和によって、世界のドル流通量(ワールドダラー)はこの5年間で2兆ドル(約200兆円)から6兆ドル(約600兆円9に拡大した。

  この潤沢な過剰流動性をバックに、NYダウは09年3月の6547ドルを底に13年5月に1万5409ドルまで2.3倍に、独DAX指数は09年3月の3666ポイントを底に同5月に8530ポイントまで2.3倍に上昇した。ところが、日経平均は09年3月の7054円を底に翌年4月の1万1339円までは米独と同様に初期反騰を見せたものの、デフレに伴う円高が災いし、12年11月の野田前首相による解散発言まで8600円台に低迷。

  この間、NYダウやDAXは9割上昇を示していたが、日経平均は底値から2割の上昇にとどまった。だが、脱デフレと標榜するアベノミクス効果で先月22日に1万5627円(09年底から2.2倍と米独にほぼ肩を並べる)まで上昇したところで前述のバーナンキ発言による外人売りに遭遇しピークアウト。

  直近、シカゴ日経平均先物で一時1万2300円割れ、NY外為で一時1ドル・94円98銭の円高があったが、日本経済のファンダメンタルスや14年3月期の企業収益見通しとバリュエーション、あるいは移動平均線との下方カイリや騰落レシオ、ストキャスティクスなどのテクニカル指標などを総合判断すると6月7日の日経平均1万2548円のザラ場安値でボトムを捉えたとみている。

(忠田公夫=経済・株式評論家・アナリスト。ナショナル証券投資調査部長、SMBCフレンド調査センター常務を経て現職。96年に日本経済新聞社・日本経済研究センター主催の関西経済人・エコノミスト会議において優秀エコノミスト賞受賞)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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