【ジャーナリスト&アナリスト・水田雅展の視点】週末SQ控えて先物に振り回される神経質な展開継続

2013年6月9日 18:04

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<相場展望>(6月10日~14日)

■リバウンド狙いが強まる可能性も

 来週(6月10日~14日)の株式市場は、週末14日のメジャーSQに向けて外国為替市場や債券市場の動向を睨みながら、先物に振り回される神経質な展開に大きな変化はないだろう。ただし徐々にリバウンド狙いの動きが強まる可能性がありそうだ。

 株式市場は前週も先物主導で神経質な展開が続いた。安倍晋三首相が5日に発表した成長戦略第3弾が、規制改革への踏み込みや具体策に欠けるとして売りに拍車をかける形となった。週後半には新興市場の下落が加速して、信用取引の追い証絡みの投げも観測されたようだ。

 そして注目された前週末7日の米5月雇用統計では、失業率が7.6%で4月に比べてやや悪化したが、非農業部門雇用者数が前月比17万5000人増加となり、4月改定値の同14万9000人増加に比べて改善し、市場予想もやや上回った。

 この内容を受けて米国市場で長期金利は上昇し、為替は乱高下する場面があったものの結局はドル高・円安方向に傾き、株式市場でダウ工業株30種平均株価は前日比207ドル50セント高と大幅上昇した。特に強くもなく弱くもなく適度な内容だったことで、米FRB(連邦準備制度理事会)による資産買い入れプログラムの縮小、または終了時期が大幅に早まることはないとの見方が広がった。

 この流れを受けて7日のCME日経225先物(円建て)は1万3220円(大証終値比540円高)まで上昇しており、来週初10日の日本の株式市場はリバウンド狙い優勢のスタートとなりそうだ。その後は週末14日の先物・オプションSQ(特別清算指数)算出に向けて、外国為替市場や債券市場の動向も睨みながら、思惑や仕掛けが交錯して神経質な展開が続きそうだ。

 ただし、10日~11日の日銀金融政策決定会合では債券市場の安定化策として、現在1年以下に限定されている資金供給オペの期間を2年以上に延長することを議論する見通しだ。日銀会合に対する期待感に加えて、安倍晋三首相が企業の設備投資減税など成長戦略に追加策を盛り込む考えを示したとの報道も支援材料となり、週前半はリバウンド狙いの動きを強める可能性があるだろう。急落して指標面の割安感が台頭している銘柄に注目したい。

 なお7日の取引終了後に、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用資産の基本ポートフォリオ比率の変更を正式に発表した。国内債券の割合を減らして国内株式、外国債券、外国株式の割合を増やした。株価上昇局面で機械的に株式売却を迫られる事態の回避が狙いだが、国内株式への上乗せ分が小さいため週明けの市場で好感されるかどうかは不透明だ。

 その他の注目スケジュールとしては8日の中国5月貿易統計、9日の中国5月PPI・CPI・鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資、10日の日本4月経常収支、日本1~3月GDP2次速報、日本5月消費動向調査、日本5月景気ウォッチャー調査、11日の日本5月マネーストック、日本4~6月法人景気予測調査、12日の日本4月機械受注、ユーロ圏4月鉱工業生産、13日の米5月小売売上高、米5月輸出入物価、14日の米5月鉱工業生産、米6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、米第1四半期経常収支などがあるだろう。その後は17日~18日のG8首脳会議、19日~20日の米FOMC、27日~28日のEU首脳会議などが予定されている(ジャーナリスト&アナリスト・水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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