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今国会で成立が期待される「消費者裁判手続き特例法案」
悪徳商法等に対する消費者相談件数が減少している。5月27日に発表された経済産業省の速報によると、本省と全国の経済産業局が受けた2012年度の相談件数は8,470件で、前年度比マイナス14.3%と大幅に改善した。割賦販売などの割賦関係、訪問販売や通信販売などの特定商取引法関係、先物取引関係、個人情報関係、製品関係など、いずれの分野においても減少した。特に全体のほぼ半数の50.6%を占める特定商取引法関係は9.5%減と、数にして449件も減ったことになる。
08年に特定商取引法と割賦販売法が改正され、それまで規制対象商品・サービスを指定していたものを廃止し、原則すべての商品・サービスを対象とするなど、法整備が進んだことが影響しているとみられる。
消費者行政は、09年に設置された消費者庁が基本的な政策の企画・立案等を実施するとともに、全国の自治体が設置する消費生活センターが受け付けた消費者相談情報の集約と調査・分析を行っている。経済産業省との共管と言えるだろう。また、消費者庁の所管には独立行政法人 国民生活センターが置かれ、支援・相談等、中核的な実施機関としての役割を担っている。
消費者相談については、国民生活センターと全国の地方消費生活センターをオンラインネットワークで結び、膨大な情報を蓄積・活用する「PIO-NET」システムが1984年から運用されてきた。PIO-NETにおいても、消費者相談件数は平成16年度の約200万件をピークに減少傾向にある。12年9月に公表されたデータによると、11年度は878,598件まで減少したとしている(「PIO-NET にみる2011 年度の消費生活相談」)。
しかし、相談件数が減少傾向にあることを手放しで喜ぶのは早計である。消費者被害の特徴は、平均額で最も件数が多くなる正規分布ではなく、「ベキ分布」だからだ。多数の少額被害者の中に少数の高額被害者が存在しており、被害額の平均が被害の実態を反映しているわけではない。これまで、被害額が少ない多数の被害者は、訴訟費用の負担から泣き寝入りしてきた。悪徳商法が減少傾向にあっても、被害回復が難しい状況は変わらない。
今年4月19日、「消費者裁判手続き特例法案」が閣議決定された。法案はこうした多数の消費者に生じた財産的被害を集団的に回復するための裁判手続を創設するものである。今国会で成立し、16年には施行されることを期待したい。(編集担当:坪義生)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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