基調は強いものの達成感も、秋まで高値保合いの可能性、「業績+成長戦略」で銘柄選びを=犬丸正寛の相場展望

2013年5月17日 16:27

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 日経平均は15日(水)に場中値、終値とも1万5000円台に乗せた。2008年1月以来、5年4ヶ月ぶりであり、また、昨年11月水準から約76%の上昇率である。好調な企業業績見通しが続いていることから、次は、リーマンショック直前の高値1万8300円(2007年2月)を目指すものとみられるが、ただ、しばらくは高値圏でのモミ合いとなる可能性もありそうだ。場合によると、14年3月期の増額期待の高まる第2四半期決算の秋ころまで、高値往来の展開が続くことも否定できないだろう。

 2014年3月期の日経平均ベースの予想1株利益は16日現在で890.8円となっている。一部強気筋で期待された1株利益1000円は難しいものの、900円前後ということで企業業績には安心感がある。予想PERも16倍台まで低下していることで、中長期投資スタンスの買いが予想され、相場の基調は強いとみられる。

 ただ、短期筋にとっては3月期決算発表の一巡で、手がかり材料がなくなる。しかも、目標だった日経平均の1万5000円乗せで達成感も出ている。「短期売買を旨とする投資家にとっては、今後は決算からアベノミクスの成長戦略に目が向くことになるだろう。7月に発表となる第1四半期決算での増額はないだろうが、それでも14年3月期の増額の可能性がある銘柄には成長戦略の材料も加われば、そういった銘柄が夏相場で活躍するだろう」(中堅証券)。

 円安についても、「マーケットは1ドル・105円は織り込んだ可能性がある。その先、円安が進むかどうかは不透明だが、さらに、円安が進むようだとアメリカ自動車業界からの反発も予想される。国内的にもいつまでも円安頼みではなく成長戦略で経済再生を目指すべき、という声も聞かれる」(同)ということだ。

 日本の1~3月のGDPは年率3.5%のプラスと好調。6月の東京都議選、7月の参議院選挙の勝利はまず間違いないだろうし、消費税引き上げもゴーサイとなるだろう。ただ、貿易収支は依然として巨額の赤字で、しかも、敦賀原発には活断層の存在から再稼動どころか廃炉の可能性が強まっている。エネルギー問題をどうするかと同時に原発で成り立っていた地方経済をどうするかという課題もある。このあたりまで踏み込んだ成長戦略ならマーケットでも大いに評価されるものとみられる。

 これからの相場は基調は強いものの、「意外に儲からない」、ということも予想され、いわゆる「チャブつく」ことも場面も増ええそうだ。昨年秋から大きく上昇した相場だけに銘柄選びがいっそう重要となりそうだ。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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