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シリア情勢、米露協調へ それでも残る懸念とは?
混迷を極めるシリア問題の早急な解決を目指し、米国とロシアが国際会議を開催することで合意した。アサド政権と反体制派それぞれの代表が参加し、移行政府の樹立に向けて話し合いを行う場の実現を5月中にも目指す。
政権側からの反応は明らかではないが、反体制派側の主要グループ「シリア国民連合」は、参加する意向を明らかにしている(ただし。アサド退陣は必須との姿勢)。
海外各紙は、この会議が果たしうる役割と共に、刻一刻と悪化するシリア情勢を報じている。
【米露主導の国際会議、対立者の協議目指す】
今回の米露の合意のうち最も重要な点は、ロシアがアサド退陣後の移行政府の樹立に合意した点だ。
移行政府に関して、ロシアはアサド側がそれなりの発言権を持つべきだと主張。米国は「シリア国民が決めることだ」と述べており、アサド氏の処分に関しては明言を避けた。これは大きな一歩と言えるとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。
また、辞任が危ぶまれている、国連とアラブ連盟のシリア担当合同特別代表ブラヒミ氏は「長い間不幸が続いたシリアで初めて希望が持てるニュース」と述べている。
一方アナリストからは、反体制派が分裂し秩序を失ってきていることへの懸念が出てきている、国際会議に一部の反体制派だけが出席したところで、問題の解決にはつながらないのでは、との指摘も挙がっているとフィナンシャル・タイムズ紙は取り上げている。
ロシアがアサド政権に対して持つ影響力に比べると、米国が反体制派に及ぼす影響力は限られていると言える。
ただ、今回の合意の米国の目的は、シリアに関し、ロシアとの対話の機会を増やすことにあるとの指摘も出ている。
【悪化の一路を辿る現地情勢】
シリアの状況は刻一刻と悪化しているようだ。特に、双方の武装した過激派グループによる襲撃がエスカレートしているという。最近では、アサド政権への本格的な加勢を表明したイスラム教シーア派組織ヒズボラが攻撃を展開しており、子どもや女性を含む多くの一般人が犠牲になっているとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。
また、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、イスラエルは米国に対して、ロシアがシリア政府に最新ミサイルなどを売却する動きがあると警告しているようだ。
ロシアは同国政府に長年にわたって武器販売を行なっているため、シリアの防空レベルは高いという。欧米諸国はロシアに対して武器の売却を行わないように求めてきたが、シリアとロシアの間で2010年に144台のミサイルと6台のミサイル発射装置を含む9億ドル相当の武器の売買が合意されており、今年に入ってその一部が支払われたとイスラエルは主張している。3ヶ月以内に第一弾が輸送され、その使用に関する指導チームも派遣されるもようだという。
なお英国は、国際会議を有意義な手段としながらも、それとは別に、EUによるシリアへの武器禁輸の内容を変更し、シリア国民連合などへの武器供与を可能にしていく考えだとフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。
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※この記事はNewSphereより提供を受けて配信しています。
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