難敵の相次ぐ登場で黒田緩和は劣勢に追い込まれたのか?/Miniトピック

2013年5月8日 15:33

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記事提供元:フィスコ

[Miniトピック]

15:01JST 難敵の相次ぐ登場で黒田緩和は劣勢に追い込まれたのか?

 オーストラリア準備銀行(RBA・中央銀行)は7日に政策金利を0.25%引き下げたが、NZ準備銀行(中央銀行)も黙っていられないということで8日にNZドル売り介入を実施した。中央銀行による市場介入は「禁じ手」のはずだが、NZ準備銀行のウィーラー総裁は、外為市場でNZドル売り介入を実施したことを明言した。NZドルは前日比で1%強下げており、NZドル・円は一時82円台後半まで下落している。

 欧州中央銀行(ECB)、豪準備銀行(RBA)が利下げを行ったことで、NZ準備銀行は投機的なNZドル買いが強まることを警戒していたようだ。NZ準備銀行は状況次第で利下げを行うことも検討している。また、豪州とNZの金融当局は、日銀の大規模な金融緩和によって自国通貨高が進んでいると批判していた。

 日銀による大規模な金融緩和(黒田緩和)は、先進国間における金融緩和競争を招いていると批判されているが、これは否定し難いだろう。金融緩和によって円安が進行するとの期待は後退しつつある。株式相場の上昇は期待できても、株高を好感して円安になるという見方は改めるべきかもしれない。

 「黒田緩和」の本質は円安誘導であると思われるが、ユーロ圏、豪州が利下げを実施し、NZはこれに追随する可能性がある。また、カナダ中央銀行による利上げ観測は大幅に後退し、英国の金融政策も緩和的な状態が長期化するものとみられている。米国の量的緩和策は、年内縮小の可能性があるが、ゼロ金利政策の終わりは全く見えていない。金融緩和による円安進行を期待することは難しくなりつつある。

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