【菜々美のマーケットにつぶやき】バブルの懸念は分かるが、90年に比べるとまったく心配ない

2013年5月4日 06:28

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

  最近、バブルを心配する声も聞かれます。もちろん、まだ一部にすぎませんが、著名な人の口から警鐘が伝えられています。背景には2年で2倍の270兆円もの大量の資金供給が行われことに対する心配のようです。とくに、モノが充実しどちらかといえば余ってい状況で、しかも、この先、少子高齢化やエネルギーの制約などから国内需要には大きく期待できないため、大量に供給された資金は設備投資に回らず投機資金化し1990年前後に経験したバブルが再来するという意見のようです。

  わたしも、内心では心配を否定できないでいます。しかし、長く続いた冷え切った景気を浮上させるには最初は大量のエメルギーは必要ということも分かります。今、やっと明るさのみえてきた景気を直ちにバブル発生へ結びつけるのは無理があることも承知しています。やはりバブル崩壊後の非常に厳しかった経済、社会情勢が記憶に残っているからだと重います。

  そこで、今は先行きのバブル懸念は頭に入れておきながら、当面は物価2%政策に素直についていくのがよいのではないかと思っています。日経平均の昨年秋からの急伸を見れば怖くなりますし、一部の物の値段を見れば物価高の心配も強まって慎重となるのも当然でしょう。しかし、物価2%目標にはまだまだ手の届かない状況ですから、ここは後ろを振り向いて高所恐怖症にならないで頂上を目指して上るのがよいと思います。

  ただ、どこか頂上か、言い換えればバブル発生はどのような状況で起きるのかは1990年当時と比べて頭に入れておくのがよいでしょう。

  1990年のバブルの頃は、(1)原野の土地まで人気となった、(2)通常、担保の7~8割しか貸さない銀行が120%もの融資を行った、(3)今まであまり株式投資をやったことのない人まで投資が活発となった、(4)高級レストランなど高級ものが選好された、(5)個人サラリーマンがマンション、ゴルフ会員権、さらに上場するという自社の株などをすべて借金で購入した、(6)夜の街ではタクシーが拾えなくなった、――といった現象があったことを思い出します。

  現在、高級品にバブルの臭いが少しは感じられますが、これは、あくまでこれまでのデフレの中で我慢していた反動だろうと思います。まだ、借金してまで高級品を購入するところまで行っていません。タクシーだって、いくらでも拾えます。株式投資でも借金買いのひとつである信用取引買いはそれほど増えていません。

  不況に慣れてしまっていたため、一気の景気の変わりようにとまどいは当然ですが、ここは景気回復のまだ1合目にすぎないと思って取り組まないとこの相場にはついて行けないのではと、思っているわたしです。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【アナリストの眼】ネット選挙関連のパイプドビッツ、選挙接近で株価再動意、今期営業益2.1倍(2009/05/01)
【編集長の視点】オリコンは分割落ち後高値に肉薄、決算発表を先取り内需割安株買いが増勢(2009/05/01)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事