【編集長の視点】米国相場格言の「Go away」を「Go to JAPN」と読み替えれば「レパトリ」関連株の出番も=浅妻昭治

2013年4月30日 13:23

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

  5月相場入りを前に、相場の雲行きが何だか怪しい。為替相場は、心理的なフシ目である1ドル=100円を前に足踏みが続き、株価も上値が重くなってきた。折からの企業決算発表でも、今12月期業績の上方修正したキヤノン <7751> や今3月期業績の増益転換を予想した任天堂 <7974> (大1)のように、それをキッカケにして急落した銘柄も目立つ。

  昨年11月14日以来の「アベノミクス」相場は、日経平均株価が、4年10カ月ぶりの高値まで6割高して、上昇第1段のロケット・スタートに成功した。このまま、第2段ロケットに点火して、上昇力に加速がつくはずなのが、そのスピードのためにかえって重力がかかってきた印象である。欧州、中国の景気鈍化は、ある程度、想定範囲内ではあるものの、頼りの米国まで、景気回復の鈍化を示す経済指標が、交錯し始めたのが、つまずきの始まりである。

  とくに、米国の5月相場は、忌月に当たるとされているから心配である。米国の相場格言では、「Sell in May and Go away(セル・イン・メイ・アンド・ゴー・アウェイ=5月に売り逃げろ)」と教えているからである。昨年の5月も、この相場格言通りに米国のNYダウは、6月4日の1万2101ドルまで1100ドル安し、つれて日経平均株価も、同日のザラ場安値8238円まで1300円幅の調整をした。ゴールデンウイーク(GW)の谷間、相場格言通りの相場展開が繰り返されるのか、大幅な買い越しを続けてきた外国人投資家が、今度は大幅な売り越しに回るのか、いささか警戒心が先に立ち、大型連休などと浮かれてはいられなくなるのが投資家心理というものである。

  しかしである。ここで敢えて希望的な観測をしたい。米国の相場格言が、逆に出る可能性を指摘したいのである。東京市場が、米国市場離れで独自性を発揮する相場展開である。相場格言の「Sell in May and Go away」では、「Go away」と教えているが、この「away」が、「JAPAN」に変わる新格言を期待するのである。新格言はこうなる。「Sell in May and Go to JAPN」である。米国株を売って、日本株に乗り換えるよう示唆してくれることになる。

  この希望的観測を裏打ちしてくれるのは、外国人投資家とともに投資需要主体として存在感を増してきた個人投資家の動向である。「アベノミクス」相場の初動段階から含み資産関連の思惑株などを積極攻勢、回転が効いているだけに、多少の調整など逆張り好機として買い向かってくる可能性があるからである。これはかなり広く捉えれば、「レパトリエーション(本国回帰)」の一環に当たる。

  「神は細部に宿る」で、この「レパトリ」を予兆するような小さな変化が、GW中に起こっている。大手旅行代理店の調査によると、この大型連休中の旅行需要は、海外旅行が前年比5%減の56万6000人となる一方、国内流行は、1%増の2223万人と2000年以降の最高になると予測されたのである。昨年に過去最高となった海外旅行の「内-外」需要から「内-内」需要への転換で、「日本もそう捨てたものじゃない」と見直す「ディスカバー・ジャパン」への回帰とも受け取れるわけである。この小さな変化が今後、円安のいっそうの進展などで、海外進出した製造業の国内回帰などのパラダイム・シフト(規範の変遷)を呼び起こすようなら、日本国内のデフレ経済脱却、雇用回復に大きな追い風となるはずだ。

  大型連休の谷間で若干、視点を変えて、この旅行需要の「レパトリ」が、広汎なパラダイムシフトへの呼び水となるか、株式投資面で試してみたい隠れ銘柄がある。これまで不遇をかこっていたレジャー関連の小型株三羽烏で、その株価動向から、先行きを占ってみるのである。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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