「住むこと」のカタチを再発見、業界初の施設が大阪に誕生

2013年4月29日 17:19

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記事提供元:エコノミックニュース

グランフロント大阪で積水ハウスが「SUMUFUMULAB(住ムフムラボ)」を開設した

グランフロント大阪で積水ハウスが「SUMUFUMULAB(住ムフムラボ)」を開設した[写真拡大]

 西日本最後の一等地として開発が進められてきた通称「うめきた」。その先行開発地区である「グランフロント大阪」が4月26日、グランドオープンした。グランフロント大阪は、ショップ&レストランやオフィス、ホテルやマンション等を備えた複合施設だが、最大の目玉といえば、「ナレッジキャピタル」であろう。「感性」と「技術」の融合により「新たな価値」を創出するとして、多様な人々(一般生活者から世界一の技術を持つ人や企業、研究機関、大学まで)の交わりから、今までにない商品、サービスや人材などを生み出すこと(「共創」)を目指す施設である。

 ここに積水ハウス<1928>が「SUMUFUMULAB(住ムフムラボ)」を開設。「ナレッジキャピタル」の理念に沿った、営業拠点とは一線を画す「情報発信拠点」「研究開発拠点」として、業界初となる試みを実施しようとしている。

 「住ムフムラボ」は、「生きるコトを、住むコトに。」をテーマとし、「かぞくのカタチ」「いごこちのカタチ」「いきかたのカタチ」の3つのゾーンと、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)」との共創プログラム「対話のある家」で構成されている。各ゾーンでは、様々な暮らし方の提案や健康・環境・ユニバーサルデザイン・安心・安全などに関する情報発信などが実施されるということであるが、注目すべきは、「共創」を具現化する取り組みであろう。

 その最たるものが、DIDとの共創プログラム「対話のある家」である。DIDとは、遮光空間の中を、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもとで探検し、様々なシーンを体験するソーシャルエンターテイメントのこと。DIDを体験することにより、家や家族の絆などについて深い気付きと感動を呼んできたもので、関西では初の長期開催となる。これまでも東京ではアトラクションとして展開されてきたが、積水ハウスという住宅トップ企業とコラボすることでアトラクションの範疇を超え、どういったものが生み出されるか期待が集まるところであろう。さらに、街中ではサポートの対象とされてきた視覚障害者が、生き生きとインストラクターとして働き、新しい街「グランフロント大阪」内を白杖を持って闊歩する光景は、共生を実現した新しい未来を予感させるものである。

 さらにスマートハウス分野におけるホンダ<7267>との協業に基づき、住宅内ロボティクス技術の共同研究も実施。パーソナルモビリティーや体重支持型歩行アシストなどのロボティクス技術を居住空間でどのように活かせるか、検証し評価するとしており、住ムフムラボはその情報発信の場であると同時に、来館者による評価を受ける場ともなる。ロボットは当初よりナレッジキャピタルのメインテーマの一つとされ、企業や大学がどのようにプレゼンテーションを行うのかが注目されてきた。こうした中、ユニバーサルデザインの視点で住まいにどのようにロボットが入り込み、活用できるようになるのかを探ろうとする試みであり、その成果に注目が集まるところである。

 その他、テーマ別で様々な情報やアイテム・要素技術が展示される「住ムフムWall」や、カフェのような空間でくつろぎながら知識・興味を深める場となる「住ムフムSquare」、セミナールームなどが備えられており、様々な講座やワークショップ、トークショーなどのイベントも計画されている。

 この10年ほどで「家族形態や働き方」や「コミュニティの多様化」、「環境共生や健康意識の高まり」など暮らしを取り巻く社会が大きく変化している。IT化や技術・社会の進歩で、暮らしはどんどん便利になっていく一方で、潤いのある、ゆっくりとした快適な暮らしが失われているのではないか、というのが事業ドメインを“住”に特化した積水ハウスの考えだ。そこで、IT化や合理化だけに迎合せず、現代の社会変化に合わせて一人ひとりの住まいや暮らしへのこだわりを再発見する場を提供することを通じて、「便利な暮らし」と「潤いのある快適な暮らし」の両立を目指す試みがスタートした格好である。

 「住ムフムラボ」は、「積水ハウス」という冠から、住宅に興味を持っている人をメインターゲットに据えているように思えるが、生活をする人、つまり全ての人に関係する情報に終始しており、すべての生活者にとって有益な空間と言えるであろう。こうした、一般の来場者、イコール生活者が最新の研究に触れるだけでなく参加することができる施設、住ムフムラボ。住ムフムラボの無限の可能性、そこから生まれる新しい発想や技術、情報に期待したい。(編集担当:井畑学)

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