三菱重工や日立、スペインでスマートコミュニティ実証システムを運転開始

2013年4月26日 16:17

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 三菱重工業、日立製作所および三菱商事は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けて参画しているスペイン・マラガ市(アンダルシア州)の「スペインにおけるスマートコミュニティ実証事業」で、電気自動車(EV)200台、急速充電設備9ヵ所およびEV管理センターを中心とする実証システムの運転を、現地時間4月25日から開始した。同実証事業は、CO2排出量の大幅な削減が期待される次世代交通インフラを構築することなどを目的に2016年3月末まで行う。

 同実証事業は、EVの普及に必要なEV用急速充電器やEV管理センターなどのEVインフラの構築およびこれらを活用した新規事業の運営について実証するもの。また、EV給電の安定化に欠かせない電力マネジメントシステムの実証や、EVインフラと電力システムの連携を可能にするICT(情報通信技術)プラットフォームの実証、さらにEV管理センターに蓄積されたデータに基づいた新たな総合サービスシステムの実証などを行う。

 具体的には、三菱自動車工業の「i-MiEV(アイ・ミーブ)」を中心として200台程度のEVを導入し、EVに電力を供給する急速充電ステーションとして、市内および郊外の計9ヵ所(23口)に、標準的なCHAdeMO(チャデモ)式充電器3台と不安定な電力事情にも強い蓄電池タイプ4台(以上は三菱重工が供給)、同時に4台まで充電できるタイプ4台(以上は日立が供給)を分けて配置している。また、EV管理センターを開設し、管理・運営を行っていく。参加者(EVユーザー)には多様な使い方のドライバーを募り、有用なデータの収集体制を整えた。

 各充電ステーションの混雑情報や車載器の交通情報(プローブ交通情報)に基づく最適なナビゲーションサービスを提供したり、スマートフォン端末で最寄りの充電ステーションまでの距離や電気使用量などのきめ細かい情報を検索できるようにすることで、参加者の利便性の向上と充電ステーションへの誘導の最適化をはかり、急速充電設備の使用に伴う電力系統への影響緩和を目指す。

 また、充電ステーションの利用資格確認など参加者の管理をICカードで行い、ICTプラットフォームを活用することで、充電ステーションや車載器、スマートフォンからデータを収集し、参加者の情報や利用状況を一元管理する。

 同実証事業では、ITS(Intelligent Transport System:高度道路交通システム)で豊富な実績を持つ三菱重工がEV管理センター、EV、車載器、急速充電設備などを提供し、EVインフラや、再生エネルギー供給量の変化に応じた電力マネジメントシステムの実証など担当している。また、情報・通信システムや電力マネジメントシステムで実績を有する日立が、ICTプラットフォーム、急速充電設備および電力マネジメントシステムに連動するデマンドサイドマネジメントを提供している。三菱商事は、今回と同様のプロジェクトを他地域で展開することについて検討する。

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