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なぜ今、ジェネリック家電なのか?
近頃、ジェネリック家電が注目を集めている。ジェネリックとは、和訳すると「一般的な」とか「ブランドに囚われない」という意味を持つ言葉。日本では、特許が切れた先発医薬品と同じ成分で別メーカーが作る後発医薬品の呼称として「ジェネリック医薬品」という言葉が使われたことで広く知られるようになった。このジェネリック医薬品、期待できる効果効能は同じでも価格が安くなるので、最近では医師や薬局の処方にもジェネリックを希望する人が増えているという。
ジェネリック家電も同じく、有名メーカーの人気商品に負けず劣らずの機能や性能を持ちながら、あまり名前を聞かないメーカーが製造しているという理由で激安価格になっている家電製品のことで、最近、人気が高まっている。確かに、B級メーカー品とかノーブランド品などとは言わず、ジェネリックというワードを使うだけで、消費者は購買意欲を掻き立てられるのかもしれない。
しかし、そんなジェネリック家電が注目され始めたのは、何もネーミングだけのことではない。今まで大手メーカーの商品しか取り扱っていなかった家電量販店が、軒並みジェネリック家電を取り扱い始めたことが大きい。これまでも当然、ノーブランド品や、中小の家電メーカー品は存在していた。しかし、それらが取り扱われるのはホームセンターや一部の通信販売などに限られていた。大手家電量販店の中で早くからジェネリック家電を取扱っていたのはビックカメラくらいのものである。
本来、家電メーカーと家電量販店は持ちつ持たれつの関係であり、量販店はメーカーの手前、競合するノーブランド商品は扱わないというのが暗黙の了解となっていた。しかし、ここ数年、国内の大手メーカー品の訴求力が低下し、それに代わる様にじわじわと、中韓の家電メーカーの商品が売場を侵食してきている。顧客側もその状況に慣れてきて、昔のような日本の大手メーカー品に対する絶対的な信頼はなくなり、名より実を取るようになってきた。たとえ海外メーカー品やノーブランド品でも良い製品だと判断すれば買っていくというのが、国内消費者の当たり前の行動となった。
また、ジェネリック家電が注目されるようになる大きなきっかけもあった。2011年3月11日、日本を襲った未曾有の災害。あの東日本大震災以降、国を挙げて節電が叫ばれる中、各地で品薄になるほど扇風機が売れた。その時に消費者が求めたのは、多機能で使いづらい大手メーカーの扇風機ではなく、基本動作のみに機能を絞ったシンプルさと、大手メーカーにはまねのできない圧倒的な安さを併せ持つ、ジェネリック家電の扇風機だった。
しかも、このようなジェネリック家電の扇風機には、安さとシンプルさだけではない、しっかりとしたこだわりも見受けられる。たとえば、2012年に350万台もの扇風機を販売し、業界トップシェアを誇る山善 の扇風機YHX-AD30には、DCモーターが採用されている。ACモーターを搭載した従来製品に比べて8割近い省エネ効果があり、「弱」運転なら一日8時間使用しても、1ヵ月の電気代はわずか22円程度だが節約になる。しかし、DCモーターはACモーターに比べて高価なので、それを搭載した扇風機を安価で販売するためには、膨大な数の生産とそれを販売できる販路が必要になる。山善では一般顧客向けのネット通販を活用し、その販路を見出したことで、安価で圧倒的な省エネの扇風機を販売することに成功したのだ。
扇風機に限らず、日本の大手メーカーの製品を見渡すと、どんどんと多機能化し、扱いづらくなっているように思われる。スマートフォンなどの最新機器と連携する家電は確かに今風かもしれないが、消費者のニーズとかけ離れたものになっているのではないだろうか。日本の家電メーカー再生のカギは、ジェネリックメーカーの考え方の中にこそあるのかもしれない。(編集担当:樋口隆)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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