「iPad」と「Surface RT」、軍配はどちらに?

2013年4月6日 19:52

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記事提供元:エコノミックニュース

成長著しいタブレット市場を牽引し続けるアップル社のiPad

成長著しいタブレット市場を牽引し続けるアップル社のiPad[写真拡大]

 2013年3月15日。マイクロソフトのWindows8タブレット「Surface RT」が、海外よりも約5ヶ月遅れで、日本でも発売された。そして発売から約1ヶ月。鳴り物入りで登場したにもかかわらず、売り上げの方は苦戦している模様だ。その大きな理由は、やはり根強い「iPad」人気にあるとみられている。

 「iPad」と「Surface RT」を単純に比較することはできない。しかしながら、タブレット市場という大きなくくりの中では後発となるSurface RTのマーケティング施策は、明らかにiPadを強く意識している。その証拠に、発売前のティーザー広告をアップルストア銀座の正面にある松屋銀座の壁前面に展開したり、発売記念イベントに登場した米Microsoftジェネラルマネージャーのブライアン・ホール氏自身がiPadとの比較をしながらSurface RTのプロモーションを行なっているのだ。

 Surface RTとiPadを実際に比較してみると、これはあくまで主観的な感想だが、手にした感じでは、実際に30g重いSurface RTの方が多少は重く感じるものの、iPadに比べてフィット感があり、厚さはほぼ互角だが、比べてみると持ちやすい印象がある。逆に、iPadの4:3ディスプレイに対して、Surface RTは16:9ディスプレイなので、片手で持ったときの重心は若干ぶれてしまい、扱いにくいという印象をもつ人もいるだろう

 次にインターフェースに関してだが、こちらはさすがに「PC的な使用が可能」とうたっているSurface RTに軍配が上がる。ヘッドフォン出力とLightningポートしか搭載していないiPadに不満を抱いていたiPadユーザーは、Surfaceを少し羨ましく思ってしまうかもしれない。SurfaceにはUSB 2.0ポート、Micro HDMI出力、ヘッドフォン出力、SDXC対応microSDカードスロットが備わっており、ビジネスユースにも非常に便利に使用できるだろう。

 ただし、タブレットの命ともいえるタッチ/スワイプ操作に対する画面の追従性に関しては、iPadの方が快適といえる。Surface RTも善戦しているものの、アップルiOSのお家芸であるヌルヌル感には残念ながら及ばない。また、画素密度でもiPadはSurface RTの約1.8倍の高精彩を誇っており、動画コンテンツを視聴したり、グラフィック系のアプリを扱ったりする機会が多いユーザーにはiPadの方が支持されているようだ。

 また、アプリの数でも、今や30万本をはるかに超えるといわれるiPadに比べ、Windows RT向けのアプリは現在、約2万本程度。単純に数の問題で比較するようなものではないかもしれないが、iPadの圧勝だ。

 とはいえ、Surface RTには伝家の宝刀「Office」が扱えるという大きな強みもある。制限はあるものの、Office文書を作成したり編集したりできることは、とくにビジネスユースでは頼もしい。iOS用の互換ソフトもあるものの、それでも正規のSurface RTと同じレベルでOffice文書を扱うことはできない。

 スペックの細かい比較も必要かもしれないが、ざっと大まかにみただけでも、この2つを比較する自体がナンセンスであることがよく分かる。なぜなら、iPadはどちらかといえば個人で楽しむためのもの、Surface RTはビジネスシーンで活用できるタブレットであるといえるからだ。つまり、OSの違いだけでなく、これらの機種では、ターゲット層が明確に異なっているのだ。アップルファン、マイクロソフトファン、それぞれの思いはあるだろうが、購入を検討するときは、利用シーンや用途を重視して選択することが望ましいだろう。(編集担当:藤原伊織)

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