【アナリストの眼】週後半に重要イベント集中して不安定な動きに

2013年3月31日 17:20

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<相場展望>(4月1日~5日)

 来週(4月1日~5日)の株式市場は、週後半の4日と5日に重要イベントが集中するため思惑や仕掛け的な動きも加わり、やや不安定な動きとなりそうだ。

 大勢としては景気回復期待をベースする強トレンドに大きな変化はないと考えられるが、来週は3日~4日の日銀金融政策決定会合、4日のECB理事会と記者会見、週末5日の米3月雇用統計と国内外で重要イベントが相次ぐ。このため思惑が交錯し、結果次第では仕掛け的な動きも加わって波乱の可能性もあるだろう。また海外リスク要因としてキプロス問題、イタリア問題、北朝鮮問題などに注意が必要であり、需給面では外国人投資家の動向が注目され、高水準の信用買い残高も無視できない。一時的に調整色を強める可能性もあるだろう。

 前週末3月29日の米国株式市場が休場だったため、週初4月1日の株式市場は取引開始前に発表される日銀短観(3月調査)の結果を受けてのスタートとなる。安倍晋三政権の基本政策である「3本の矢」に対する期待感、さらに足元の円安効果や個人消費動向が、大企業を中心に業況判断の改善に繋がっているかどうかが注目され、ポジティブな結果であれば堅調なスタートとなるだろう。その後は為替動向も睨みながら、週後半に向けて先物主導で思惑が交錯しそうだ。

 3日~4日の日銀金融政策決定会合は黒田東彦・日銀新総裁の下での最初の会合となり、買い入れ国債の年限長期化、リスク性資産の購入、無期限資産購入の前倒しなど「異次元の金融緩和策」が打ち出されるとの期待感が高まっている。ただし市場では期待はほぼ織り込まれたとの見方もあるだけに、4日に発表される結果がすでに報道されている内容と同程度だった場合に、市場の期待どおりだったとして円安・株高方向に弾みを付けるのか、あるいは期待以上のサプライズがなかったとして円高・株安方向に崩れるのかが注目される。

 4日には欧州でもECB理事会と記者会見が予定されている。金融政策に関しては今回も利下げに踏み切る可能性は小さいとの見方が優勢のようだが、ドラギECB総裁が記者会見で、ユーロ圏の景気見通しに対してどのような判断を示すのか、景気低迷に対して利下げを示唆する発言があるのか、さらにキプロス問題に関してどのような見通しを示すのかなどが注目される。キプロス問題に関しては、3月28日に銀行が営業を再開してやや落ち着いた状況だが、銀行預金課税の影響や他の南欧諸国への波及など不透明感がくすぶっている。イタリア政局問題に関しては、暫定政権樹立に向けた調整も進まず再選挙の可能性が高まっている。債務危機問題がいつ再燃してもおかしくない状況だ。

 そして週末5日には米国で3月雇用統計が発表される。米国景気の回復を確認する内容となれば、米国株式市場は史上最高値を更新する展開が期待されるだけに、次週(4月8日~12日)の日本の株式市場にも好影響を与えることになるだろう。

 また国内では13年2月期業績の発表が本格化する。小売など内需系企業が中心となり、業績面では勝ち組と負け組という二極化傾向を強めていることが確認されそうだが、足元の消費動向や円安の影響などに関するコメントが注目点となるだろう。

 需給面で見ると、新年度相場入りに伴う資金流入期待がある一方で、3月第3週(3月18日~22日)の週に外国人投資家が19週ぶりの売り越しに転じたことが意識されるとともに、個人の買い越し額が2年ぶりの高水準だったことにも注意しておきたい。個人の物色意欲が旺盛という見方が優勢のようだが、高水準の信用買い残高と合わせて考えると目先的には高値掴みとなった可能性もあり、上値を重くする要因となりかねない。物色面では主力銘柄から値動きの軽い材料系銘柄への資金シフトを鮮明にする可能性もあり、基本的には出遅れ感の強い銘柄を狙う流れだろう。

 その他の注目スケジュールとしては、4月1日の中国3月PMI(国家統計局)、中国3月PMI改定値(HSBC)、米2月建設支出、米3月ISM製造業景気指数、2日の日本2月毎月勤労統計、日本3月マネタリーベース、豪中銀理事会、米2月製造業新規受注、米3月自動車販売台数、3日の中国3月非製造業PMI(国家統計局)、ユーロ圏3月消費者物価指数速報値、米3月ISM非製造業景気指数、米3月ADP雇用報告、3日~4日の英中銀金融政策委員会、5日の独2月鉱工業受注、ユーロ圏2月小売売上高、米2月貿易収支、米2月消費者信用残高などがあるだろう。(本紙シニアアナリスト・水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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