カリフォルニアのモダン・デザインが国立新美術館に集結 - イームズなど著名デザイナーの作品も

2013年2月28日 22:45

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記事提供元:ファッションプレス


20世紀の半ば、とりわけミッド・センチュリーと呼ばれた時代にカリフォルニアで展開したモダン・デザインをテーマとした大規模な展覧会、「カリフォルニア・デザイン 1930-1965 ―モダン・リヴィングの起源―」展が国立新美術館にて開催される。会期は、2013年3月20日(水・祝)から6月3日(月)まで。


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第二次世界大戦後、アメリカの大衆文化の中心としてカリフォルニアは飛躍的な発展を遂げた。環境の変化に伴って住宅や生活空間への新たな需要が生じ、戦争に際して開発された新たな素材や技術を有効活用した、大胆で実験的な独自のデザイン活動が展開された。そして、開放性や鮮烈な色彩などを特徴とし、気楽で快適な新しい生活様式の実現に向けられたカリフォルニア・デザインは、様々なメディアを通じて世界中に広がり、実現可能な夢の生活のシンボルとなっていったのだ。



本展では、20世紀デザイン史において重要な役割を果たしたにもかかわらず、これまで十分に紹介されてこなかった「カリフォルニア・モダン」の全貌を、家具やファッション、陶芸、建築写真などの作品を通じて紹介する。



【展覧会の構成】

■第1章 カリフォルニア・モダンの誕生

1920年代の好景気時、カリフォルニアでは急激な人口増加に伴って住宅や家具への需要が爆発的に高まった。時代や地域にふさわしい新たなデザインが待ち望まれた中、その地歩を固めたのは、R・M・シンドラーやケム・ウェーバーをはじめとする、モダン・デザインの最前線の環境で教育を受けた、ヨーロッパからの移住者たちだった。彼らの教訓は、西海岸で営まれる生活と結び付き、カリフォルニア独自のデザインが誕生することとなる。



■第2章 カリフォルニア・モダンの形成

第二次世界大戦をきっかけとして航空機産業の一大拠点となったカリフォルニアでは、軍事目的で開発された素材や技術の新たな利用手段が模索された。日用品の大量生産を可能としたFRP(繊維強化プラスティック)や成型合板を活用した、チャールズ & レイ・イームズの取り組みは、その最たるものと言える。こうした新たな実験精神と、とりわけ工芸の世界で職人たちに重んじられた伝統とが共存して、地域に根差したモダン・デザインが展開されていく。



■第3章 カリフォルニア・モダンの生活

カリフォルニアで活動するデザイナーが目標としたのは、安価で優れたデザインの住宅や家具を数多くの住民の手に届けることだった。デザインの自律性が強調されたヨーロッパとは異なり、日々の生活の中での実用性が重んじられたカリフォルニアでは、西海岸の温和な気候や開放的な環境に応じて、屋内と屋外の境界があいまいな住宅やファッション、そして気楽で快適な生活を営むための機能に富んだ家具が、次々と生み出された。



■第4章 カリフォルニア・モダンの普及

豊かで快適な生活、いわゆるグッド・ライフの典型として「カリフォルニア・モダン」が普及していく中で絶大な影響力を誇ったのが、雑誌や新聞、そして映画といったメディアの存在。カリフォルニア発祥の著名な雑誌『アーツ & アーキテクチャー』に掲載されたバラエティに富んだ試みの数々は、今日のデザイン史においても画期的な出来事として広く知られている。建築写真、家具やファッションの広告、そしてハリウッド映画といった様々なメディアを通じて、カリフォルニア・デザインの革新性は世界中に広まったのだ。



【見どころ】

まず、家具やファッション、グラフィック、陶芸、ジュエリー、建築写真に加え、車やサーフボードなど約250点もの様々なジャンルの作品を収集した、その規模の大きさに注目したい。チャールズ & レイ・イームズやR・M・シンドラーといった著名なデザイナーの作品を実見する格好の機会だ。また、カリフォルニア・デザインが登場する、当時のテレビCMやハリウッド映画に加え、本展の開催に先駆けて試みられた出品作家へのインタビューなど、貴重な映像の数々が展覧会に色を添えている。



【関連イベント】

展覧会を多角的な視野から捉える機会として、カリフォルニアやモダン・デザインに関わる様々な分野からの専門家を招いた講演会やワークショップ等、各種イべントの開催も予定されている。どのイベントも先着順または事前申込制なので、興味のある方はお早めに。詳細は国立新美術館公式HPまで。



【展覧会概要】

「カリフォルニア・デザイン 1930-1965 ―モダン・リヴィングの起源―」

会期:2013年3月20日(水・祝)~6月3日(月)

会場:国立新美術館 企画展示室1E

住所:東京都港区六本木7-22-2

休館日:毎週火曜日 ※ただし4月30日(火)は開館

開館時間:10:00~18:00 金曜日は20:00まで

観覧料:当日券 ¥1,000(一般)、 ¥500(大学生

前売券 ¥800(一般)、¥300(大学生)

団体券(20名以上) ¥800(一般)、¥300(大学生)

※前売券は、2013年3月19日(火)まで販売。ただし国立新美術館では3月18日(月)まで。

※高校生、18歳未満の方および障害者手帳を持参の方(付添の方1名を含む)は無料

※3月23日(土)は「六本木アートナイト2013」開催にともない入場無料

※5月18日(土)は国際博物館の日につき、入場無料



URL:http://www.nact.jp/



【問い合わせ先

03-5777-8600(ハローダイヤル)


※本記事はファッションプレスニュースから配信されたものです。ファッションプレスでは、ブランド、デザイナー情報、歴史などファッション業界の情報をお届けしています。

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