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ASEANにあって軽視されがちなラオス、その課題と可能性
2012年12月、みずほコーポレート銀行はラオスの最大手銀行BCELと業務協力協定を締結した[写真拡大]
ポスト中国として、高い経済成長で注目を集めるASEAN諸国。ベトナムやミャンマー、インドネシアなど、日系企業も多くこれらの国々に進出し、製造拠点や市場の開拓を行っている。しかし中には、なかなか注目を集めない国もある。その最たる国がラオスであろう。
2011年の推定値ではGDP成長率が8.2%と、他のASEAN諸国と比べても遜色のない成長を遂げているラオス。日本とは特別な懸案事項もなく良好な関係にあり、主要援助国にもなっている。しかし近時の日本企業の動きとしては、昨年の12月にみずほコーポレート銀行(みずほファイナンシャルグループ がラオスの最大手銀行BCELと業務協力協定を締結したことや、11月にJCBの子会社が同国大手商業銀行ポンサバンバンクと提携したことくらいのものであり、日本は主要貿易相手国とは言えない状況にある。
その理由としては、まず、626万人という他のASEAN諸国と比べると市場が小さいことが挙げられるであろう。また、アジア経済危機の際、高率のインフレ及び為替レートの下落に直面し、現在になって漸く回復基調に入ったことも要因となっているのかもしれない。さらには、ラオスがASEAN加盟国の中で唯一海に面さない内陸国であることから、輸送に時間やコストがかかることも大きなネックとなっている。
昨年10月にはWTOへの加盟が承認され、今年に入って正式に加盟したラオス。すでに、銅や亜鉛、錫や金といった鉱物資源の開発は進みつつあり、コーヒーなどの輸出産品もあるため、これを機にタイやベトナム、中国といった隣接する国々だけではなく、多くの国との貿易が活発化する可能性がある。あとは、輸送に立ちはだかる壁をいかにクリアしていくかが今後の課題であろう。また、ラオスには世界遺産に登録されているルアンパバーンやワット・プーなど魅力的な場所が多く、観光産業も成長が見込める。ラオス政府も1999年から2000年にかけて観光産業の育成に注力していただけに、すでにその基盤はあると言えるであろう。安価な労働力や市場の大きさを見込んだ製造業からの進出ではなく、サービス業の進出が中心となるのかもしれない。
他のASEAN諸国と同様の潜在能力があり、日本とも友好的な関係にある。そんな国に対する今の日本企業の動向は、少し物足りないと言えるのではないだろうか。(編集担当:井畑学)
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