日経平均1万1408円抜けば1万2500円も=犬丸正寛の相場展望

2013年2月1日 16:13

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■業績悪化もほぼ織り込む

  日経平均はアベノミクスに対する評価と期待からほぼ3年ぶりに1万1000円台に乗せてきた。チャート上では、2010年4月の1万1408円を抜くかどうかが見所となっている。抜くことができれば、2008年から続いている大きなモミ合いを上放れて本格的な反騰相場突入が見込まれる。

  アベノミクスという見出しは、マスコミに使われないことのほうが珍しいくらい知れわたっている。その分、マーケットにとって、新鮮味が薄れていることは間違いない。しかし、一方で、「3年間の民主党政権のもとで不景気風と株は上がらないものという雰囲気だったことに比べれば、アベノミクスを相場が織り込んだとはいえない」(中堅証券)。

  それでもなお、慎重派は最近の輸出比率の高いグローバル企業が業績見通しを減額するとこころが目立っているため新規買いを手控えさせている。つまり、下げるのを待って買いたいというニーズが強い。しかし、減額修正銘柄は下げはするものの、新安値となるほどの下げにはなっていない。買いたいと希望する値段までは下がっていない。『押し目待ちに押し目なし』、『待ち人来たらず』で、期待通りの値段までは下げてくれないのがいまの相場である。

  結局、こうした人の買いが、わーっと盛り上がるまではこの相場は続きそうな雰囲気である。

 輸出比率の高い銘柄に減額が多いことは事実である。円高、欧州・中国経済の不振などの影響が響いている。しかし、足元では円高が円安に振れている。欧州も最悪期は脱したようであり、中国との修復にも明るい兆しがみえる。こうしたことを象徴しているのがキャノン(7751)だろう。2012年12月期は円高等の影響で営業利益は13.4%減益だったが、今期(2013年12月期)は円安効果で一転して26.6%増益見通し。輸出比率の高いグローバル企業の中で、円高から円安に振れる局面において本決算を発表したのはキャノンが最初だろう。しかも、キャノンの株価は小安いていどで引き続き高値圏で堅調である。

  今後、3月期の本決算を跨いで同じような業績と株価の展開が予想される。

  また、国内鉱工業生産は12月の好調につづいて1月、2月も伸びが見込まれている。鉱工業生産が上昇するときのマーケットは過去の相場でも強い。

  一方、今、需給関係において売り手といえば、昨年秋以降に買った株の利益確定売りくらいだろう。空売りも怖くて仕掛け難い状況にある。買い手は機関投資家等の運用が債券から株に向き、外国人投資家も相性のよい自民党政権ということで強力に買っている。残るは個人投資家だろう。ガマン堪らず買いに出たところで、過去のパターンのように、ひとつのヤマ場を迎えるのではないだろうか。

  今は、『押し目待ちに押し目なし』の状況が強い相場を作り出しているといえる。中期的には1万1408円のフシを抜いて1万2500円も見込める展開だろう。むろん、多少の波乱はあるだろうが、上昇相場へ潮目は変わっていることだけは間違いなさそうだ。鉱工業生産上昇で機械関連銘柄が注目だろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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