パナソニック、56型4K2K有機ELパネルを開発 CESに参考出展

2013年1月9日 16:16

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パナソニックが開発した56型4K2K有機ELパネル(画像:パナソニック)

パナソニックが開発した56型4K2K有機ELパネル(画像:パナソニック)[写真拡大]

 パナソニックは9日、RGBオール印刷方式では世界最大の56型で、4K2K(3840×2160:829万画素)の高精細な有機ELパネルを開発したと発表した。なお、同開発品は、世界最大級のコンシューマエレクトロニクス総合展「2013 International CES」(米ラスベガス市、1月8日~11日)に参考出展する。

 「印刷方式」とは、有機EL材料を印刷により塗布し、発光層(EL層)を形成する技術で、生産工程がシンプルであることから多様な画面サイズへの展開が容易な技術として期待されている。また、必要な箇所にのみ必要な分量を塗布できるため、材料ロスが少なく、生産リードタイムの短縮につながるなど経済性においても優れた方式と言える。

 パナソニックは、3原色(RGB)全ての有機EL材料を印刷で塗り分ける「RGBオール印刷方式」を採用すると共に、大画面に均一に塗布する設備技術・プロセス技術を開発した。

 また、光取り出し効率が高い独自の「透明陰極型トップエミッション構造」により、RGBオール印刷方式では世界最大サイズとなる56型で4K2Kの高精細画面を有し、かつ、優れた色再現性や広視野角を実現する有機ELパネルの開発に成功した。

 有機ELパネルは、高コントラストでソースに忠実な色再現性や高速応答性など、自発光型ならではの高い画質特性を有している。さらに、超薄型・軽量で低消費電力を両立するなど、PDPとLCDの長所を併せ持つことから、家庭向けのみならず、医療用や放送局用モニター、航空機搭載用途など、幅広い分野で新たな用途を創出する次世代ディスプレイとして注目が集まっている。また、今後シート化やフレキシブル化の技術開発が進むことで、より多様な産業への応用も期待されている。

 パナソニックは、PDPやLCDなど現行の薄型ディスプレイで培った高画質化技術や生産技術のノウハウを活用しながら、多くの可能性を有する有機ELのデバイス特性を最大限に引き出す研究開発を独自で進めている。また、ソニーと共同で、印刷方式をベースとした有機ELパネルの量産技術の開発にも取り組んでいる。なお、今回の開発品に採用しているTFTは、共同開発における活動ステップのひとつとしてソニーより協力を得たものを使用している。

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