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【2013年の辰己相場展望】円安、貿易収支、1株利益が見所に=犬丸正寛
【犬丸正寛の2013年相場展望】
■新政権の経済効果で6~7月に1万5000円、200円以下無くなることも
株式相場は長い低迷を脱し上昇局面基調に展じてきた。日経平均及びTOPIX(東証株価指数)とも、2008年10月から4年にわたって続いたモミ合いを上放れようとしている。2013年は日経平均で1万2500円程度、上手くいくと1万5000円も見込めそうだ。久々の株選考時代となり、マーケットから200円以下銘柄は消えるくらいの相場が見込めそうだ。
2013年の見所は、大きくは、(1)安倍新新政権の経済政策の効果がどのていど見込めるか、(2)マーケットから遠ざかっていた多くの投資家がどの時点で一斉に買い出動するか、という2点ことだろう。
相場が上昇転換したのは、言うまでもなく、安倍政権の脱デフレ政策である。政府の掲げる物価2%上昇なら、企業は製品価格上昇が今よりはるかに容易となり、企業収益は上向き、賃金上昇も見込まれ消費にプラス効果が見込まれ景気に力強さが加わる。当然、企業業績が向上し株価上昇の原動力となる。
ただ、気になるのは、物価上昇・企業収益向上と賃金上昇までの間に時間差のあることだろう。とくに、過去と大きく異なる点は少子高齢化とエネルギーいう構造的問題を抱えていることだ。このため、物価だけが上がって、所得増加が見込めず、消費税や電力料金値上げなどが生活を圧迫するようだと、人々は消費に慎重となる心配がある。また、企業も以前よりはるかにグローバル競争にさらされるようになっているため、こちらもかつてのような雇用・賃金アップや設備投資には前向きとはならない心配がある。
それでも、長く続いたデフレ経済に対する反動高もあって、少なくとも来年前半は押し目買い基調の相場が続くものとみられる。とくに、現時点では新政権の経済効果は、目に見える形としては、「円安」だけである。これが、6~7月頃になると、「企業業績」に現れてくるものとみられる。
具体的には、3月期決算発表時の5~6月において、2014年3月期の日経平均ベースでの予想1株利益について明るい数字が予想される。今の予想では来3月期の1株利益は730円台(今3月期予想611円)が見込まれている。
仮に今後、円安がいっそう進み1ドル・90台が定着となれば、2014年3月期の予想1株利益は800~850円ということも期待される。もっとも、円安は一方で輸入LNGのコストアップ要因となるため、円安による輸出増加の度合いと輸入代金増加の度合いを天秤にかけ、「貿易収支」の改善も見逃せない点だろう。このあたりに、新政権の原発容認的な発言もみられる。これに、世論がどのように反応するかも参議院選挙を控え注意しておくところだろう。
さて、足元の現実として、日経平均は2012年11月中旬以降、2ヶ月足らずの間に21%も上昇した事実がある。この間、預金していた人に比べ株式に素早く資金を移した人は、たとえば、100万円投資した人は121万円となった計算である。こうした、株選考の心理が景気・企業業績の明るい見通しと共に増えてくるものとみられる。
恐らく、6~7月頃になると目に見える形で「企業業績見通し」の好調が明確となるはず。そうなると、株式投資から遠ざかっていた経験者がマーケットに戻り、一斉に買いに走ることが予想される。しかし、既にセミプロ、外国人投資家、機関投資家などは2012年秋から大量に買いに出ているため、彼らにとって多くの投資家の買い付くところは利食いのチャンスとなるはずだ。これが、6~7月に相場がピークを打つ可能性のある背景である。
その場合、日経平均は2008年以降、大きくみれば7500~1万1000円の大きいモミ合いを続けてきた。まもなく上放れようとしていることから、次の上値のフシは1万5000円ていどが見込まれる。また、2014年3月期の予想1株利益800~850円というシナリオでPER17~20倍とすれば1万5000円前後という計算となる。さらに、中国との関係修復も加わるようだと中国向け輸出にも期待が持てる。
円安効果の輸出関連銘柄、東日本震災復興及び風水害災害対策関連で土木建設・資材関連銘柄を柱として、幅広く「循環買い相場」が展開され、200円以下銘柄はマーケットから消える可能性があるだろう。「貯蓄から投資へ」と言われたてきたが、やっと、それが実現に向けて動き出すものとみられる。ただ、6~7月の時点では、『辰己天井』という相場格言を忘れないで欲しい。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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