【菜々美のマーケットにつぶやき】名目的相場と実質的相場で思うこと

2012年12月2日 19:44

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  衆議院の解散が決まった前後に比べ、日経平均は900円近く上昇しています。しかし、この間の東証1部出来高は20億株を超えることはほとんどなく、いぜんとして活況に乏しい状況です。

  こういう状況を「名目と実質の違い」ということになるのでしょう。株価だけが上昇することを「名目的な相場」、出来高を伴った株価上昇を「実質的な相場」と色分けすれば、今はまだ名目的相場の局面だと思います。

  でも、これまで不振の続いたマーケットの状態からみれば、株価だけでも上がることは優秀だと思います。株価の上がることによる、いちばんの効果は世の中に対し、明るい気持ちを呼びおこさせる効果があることだと思います。

  さて、「名目」と「実質」のことを考えるには、やはり、1990年頃に発生したバブル経済とその後の崩壊という大きい出来事があると思います。当然、バブル発生の過程では物の値段が急速に上昇するインフレ状態でした。お給料はそこそこ上がっても、それ以上に物の値段の上がり方が大きいため貯金も思うようにできないでそれほど豊かさは実感できませんでした。

  そして、バブル経済崩壊後は、企業の競争が国内外で激しくなって物の値段が下がる一方です。それは、今も続いています。物の値段の下がることは悪くはないのですが、最初のうちはよくても、次第にモノやサービスを提供している企業の収益が低下し、それがお給料に期待できなくなっただけでなく、企業は人減らしにも手をつけるようになっています。物価の下がった最初のころは喜んだ生活者も今では生活防衛の意識が強まり節約スタイルがすっかり定着しています。結果、国全体が萎縮して不景気といわれる状況だと思います。

  とくに、物の値段に対しては、男性より女性のほうがはるかに敏感です。マーケットのチラシを見て、10円でも安いお店に行くのですから。しかし、最近のビジネス街で男性の300円前後のお弁当を求める姿を眺めると、日本はこれでよいのだろうかと不安になります。女性としては男性のこうした姿はあまり見たくないものです。

  やはり、女性は「見た目」、つまり「名目」をかなり大切にします。言い換えれば、第一印象・雰囲気の良さが大切です。日本の経済にも、あるていど見た目の良さは大切だと思います。もちろん、見た目だけの人で中身のない人では誉められませんが。

  一時は物価を差し引いた「実質GDP」が重要視されましたが、それは、バブル時期のインフレのときには有効でも、今のような物価の下がり続けるデフレ状態では見た目の「名目GDP」こそ大切なのではないでしょうか。

  安部自民党総裁の脱デフレ政策にマーケットが好反応しているのは、消費者が「名目GDP政策」に期待を寄せているためだと思います。日経平均が1万円に乗せてくれば、出来高も伴った「実質相場」に育つだろうと思います。この20数年でわれわれはインフレとデフレを生活の実感として体験しました。もちろん、次に予想されるインフレ局面でも行き過ぎないように早めの対策が肝要でしょう。(生活ジャーナリスト・菜々美)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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