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【編集長の視点】総選挙後の産業政策期待で「安倍関連」の政治銘柄には日本版GMも浮上余地=浅妻昭治
<マーケットセンサー>
まったくのサプライズであった。解散・総選挙である。しかし、政治ジャーナリズムによるこの舞台裏の分析によると、そこにはもっと生臭く泥臭い政治力学、党内抗争が働いていたようでもっと驚いてしまう。まさに「きのうの敵はきょうの友」、「呉越同舟」を地でいく政治メカニズムであったようなのである。
野田佳彦首相の与野党党首討論での解散・総選挙表明は、政治ジャーナリズムの分析では、まず既成政党の対抗勢力として台頭しようとしていたいわゆる「第三極」の選挙準備が整う前に不意打ちを狙ったというのである。この政治的利害は、もちろん既成政党の自民党、公明党とも一致することで、ここでも3党合意が成立したことになる。
一方、党内抗争では、民主党内で年内解散反対の方針が固まり、解散権封じで外堀が埋められ、さらに「野田下ろし」が激化しようとすることに先行、自公両党との共同戦線を張ったと分析された。しかも、この党首討論では、野田首相が、安倍総裁に次期通常国会での衆院定数削減の選挙制度改革法成立の確約を迫り、これを担保にして総選挙後の自民・公明・民主の大連立の含みを残したとも受け取れ、自ら「ウソはつかない」、「バカ正直」と言い張った野田首相が、意外にしたたかだったことを垣間見せた。
日々、マネーバトルが繰り広げられ権謀術数には慣れっこの兜町でも、証券マン顔負けの策士ぶり、バルカン政治家風には目を見張ったが、それでも「何も決められない」政治が、とにかく動き始めることは歓迎で、期待を高めた。まず、この党首討論から間を置かずに安倍総裁が、無制限の金融緩和策に言及したことを捉えて、為替相場は、円安を鮮明にし株価も反転上昇に拍車を掛けた。
総選挙後にどのような政権の枠組みができようと、いずれも「マーケット・フレンドリー」な政策対応が必死との読みが働いたもので、大統領選挙で再選された米国のオバマ大統領が、当選早々に富裕層への減税の中止を宣言して「財政の崖」への懸念を強め「マーケット・アゲインスト」となったこととの違いが明白になった。
物色銘柄もほぼ全面高となっているが、とくにすでに安倍連立政権成立を先取り、無制限の金融緩和策では円安進行から景気敏感株、輸出ハイテク株、不動産株、その他金融株を買い、国土強靭化基本法案関連では建設株や橋梁株などを買い上がった。
しかし、真正の「安倍関連株」が突出してくるのは、むしろ総選挙後に政権の枠組みが明確になってからのはずである。「安倍色」が色濃く出る「マーケット・フレンドリー銘柄」である。それは、例えば今回、オバマ大統領が再選された遠因となったあのGMのような銘柄の浮上に違いない。
したたかな野田首相に負けず劣らず、ここは、総選挙の相場シナリオを大胆に予測するところである。そこで注目したいのがすでに一巡したが、3月期決算会社の4~9月期決算発表で業績を下方修正したが、その下方修正が悪材料出尽くしとならずにさらに株価が、安値を追った銘柄である。
GMが連邦倒産法の適用を申請して経営破たんしたのは、2009年6月であった。このとき就任したばかりのオバマ大統領は、雇用確保のために破たん手続きを清算型でなく、再生型として公的支援を追加、これがテコになってGMは経営を再建して2010年11月に再上場を実現、回りまわって今回の大統領選挙での勝利につながった。
今期業績を下方修正してなお底値がみえない銘柄が、新内閣の産業政策の支援を受けてGMのように再生、株価も底放れする展開が想定されるとすれが、まさに真正の政治銘柄と位置付けられ、買い一考余地も出てくることになる。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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