【話題】資源株の雄・三菱商事の大幅下方修正の影響度

2012年10月21日 21:56

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■週末19日引け後発表、配当も予想比20円減額

  三菱商事 <8058> が19日の取引終了後に、今期(13年3月期)業績見通しの大幅下方修正を発表した。連結純利益(米国会計基準)は従来予想が5000億円(前期比10.2%増)と過去最高を更新する見込みだったが、3300億円(同27.3%減)と一転して減益となる模様だ。配当予想についても従来予想から20円減額して年間50円とする。

■資源価格に欧州&中国経済悪化の影

  今回の下方修正は、豪州での原料炭事業の収益悪化が主因のようだ。中国の鉄鋼需要の減速で、高炉の製鉄原料となる原料炭の価格が下落したことに加えて、豪州の鉱山でストライキが頻発したことも収益悪化に繋がった模様だ。過去数年間、資源・エネルギー価格上昇の恩恵を最大限に受けて、資源・エネルギー事業の利益構成比が高まり過ぎていた反動が出た形である。もちろん、大幅下方修正といっても赤字に転落するわけではなく、電機セクターなどに比べれば収益力は高いと言えるだろう。資源高が続かないのと同様に、資源安が続くわけでもない。世界経済が上向けば資源価格も上昇に転じるだろう。

  世界的な景気減速に伴い、資源・エネルギー関連や素材・市況品関連の価格が下落しているため、同社に限らず総合商社各社の業績下振れは今期の早い段階から強く警戒されており、株価にもある程度は織り込み済みと考えられている。しかし同社の今回の下方修正幅は想定以上であり、週初22日には失望売りが膨らむことが避けられないだろう。

  焦点は、同社の今回の大幅下方修正が、株式市場全体にどの程度の影響を与えるかだろう。前週末19日の米国株式市場が大幅下落したこともあり、週初22日の日本株式市場は軟調なスタートが想定されるが、個別の失望売りと解釈されるのか、市場全体のマインドを冷やす形になると解釈されるのかが注目されるだろう。総合商社に限らず、その後に続くことが予想される主要企業の業績見通し下方修正に対して、市場がどのように反応するかを探る参考となるかもしれない。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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