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話題のLTEの本格普及は、まだまだ先か
iPhone5の発売やソフトバンクによるイー・アクセスの買収によりにわかに話題となっているLTE。現在主に利用されている第3世代(3G)の通信システムに対しLTEは、国際電気通信連合(ITU)がLTEとWiMAXについて名称の使用を認めたことから、その次の世代の新しい通信方式として、第4世代(4G)とも呼ばれているものである。
この分野で先行していたのがNTTドコモである。2010年12月に「高速」「大容量」「低遅延」を特長として、増大するデータ通信量の対応次世代通信サービス「Xi」(クロッシィ)を開始して以降、現在では、一部の地域ではあるが、通信速度が受信時最大100Mbps、送信時最大37.5Mbpsにまで向上しており、2012年冬モデルのスマートフォン・タブレット全機種をXiに対応させて先行逃げ切り型での市場確保を図っている。
一方、KDDI・沖縄セルラーは2012年9月21日から、LTEによる「4G LTE」サービスの提供を開始。受信時最大75Mbpsであるが、2013年には受信時最大112.5Mbpsでの提供を予定しており、 また、スマートフォンをモバイルルータとして利用するテザリングも可能である。またソフトバンクも、同日から「SoftBank 4G LTE」のサービス提供を開始。注目を集めているイー・アクセスの買収は、iPhone5によるデザリングの提供開始を睨んだものであり、来年1月からとしていたデザリングサービス開始を1カ月前倒しし、2012年12月15日から実施するという発表も買収発表と同日になされている。
キャリア各社が4Gサービス・デザリングを開始するにあたって、今もっとも注視されているのが、4G用の新料金体系であろう。多くの場合、データ通信量が7GBを超えた場合には通信速度が128Kbpsに制限され、別途申し込みにより通信速度の制限なく利用できるものの、7GB超過後2GBごとに2625円の利用料金が発生するなど、「定額で使い放題」とは言えないものとなっている。また、あまり話題とはなっていないものの、バッテリーの駆動時間も問題であろう。従来の携帯電話からスマートフォンに変更した際に、その駆動時間の短さに驚いた人は少なくないであろう。4Gによる高速大容量データ通信に加えデザリングを利用するとなれば、さらに電池の減りが早くなることは容易に想像される。KDDIが、最新技術「eCSFB」を世界で初めて導入し、待受時の電力消費を抑えながらも、音声通話の発信から着信までに要する時間を大幅に短縮できることをアピールポイントとして挙げ、日本テキサス・インスツルメンツが、3G・4G LTEのスマートフォン・タブレット端末などのRFパワー・アンプ向けに、消費電流を最大50%低減し、バッテリー動作時間を延長すると同時にパワー・アンプの温度を最大30℃低減する新製品を開発するなど、低消費電力化を実現した機種の普及はまだ先であると思われる。高速データ通信でデザリングも可能だと話題にはなるものの、急速な普及とはならないのかもしれない。
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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