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【話題】ソフトバンク大型買収報道
■市場はネガティブ反応、巨額買収資金と負債引き継ぎに懸念
ソフトバンク <9984> が、米携帯電話第3位のスプリント・ネクステルを買収する方向で協議していることが明らかになり、12日のソフトバンクの株価は大幅下落した。
ソフトバンクは買収交渉を認めているが、具体的な内容の発表はないため各メディアの報道を基に整理すると、スプリント・ネクステルの発行済み株式の3分の2超の取得を目指し、スプリント・ネクステルを通じて、米携帯電話第5位のメトロPCSコミュニケーションズの買収も目指している模様だ。買収金額は、スプリント・ネクステル発行済み株式3分の2超取得に1兆5000億円超、メトロPCSコミュニケーションズの買収も含めると総額2兆円を超える見通しである。メトロPCSコミュニケーションズについては、ドイツテレコム傘下で米携帯電話第4位のTモバイルUSAが経営統合の協議を進めているため、今後のスプリント・ネクステルの株価上昇やメトロPCSコミュニケーションズを巡る買収合戦次第では、買収金額がさらに膨らむ可能性も指摘されている。このため、07年に日本たばこ産業(JT) <2914> が英ガラハー買収に投じた約1兆8000億円を上回り、日本企業によるM&Aとしては過去最大規模となる可能性が高い。
ソフトバンクにとって一連の大型買収が成功すれば、携帯電話事業で約6兆円の売上高となり、中国移動(チャイナモバイル)、米ベライゾン・ワイヤレスに次いで世界第3位規模となる模様だ。大型買収の背景には国内携帯電話市場の成熟があり、世界的にスマートフォン(高機能携帯電話)と高速通信サービス「LTE」へのシフトが加速する中で、世界市場での成長を目指すための大型買収戦略と考えられている。
■今後の事業&財務計画に注視
しかし株式市場では、ソフトバンクの大型買収観測に対してネガティブな反応を示した。巨額の買収金額に加えて、スプリント・ネクステルとメトロPCSコミュニケーションズが抱える有利子負債を引き継ぐことになるため、財務面の負担が警戒されたようだ。買収資金についてはメガバンク3行などが融資の検討に入った模様であり、ソフトバンク自身のフリーキャッシュフローを考慮すれば返済は十分に可能との見方もあるようだが、やはり財務面の負担は重いだろう。06年に英ボーダフォン日本法人を1兆7500億円で買収した際の借り入れなどで2兆円規模に膨らんだ有利子負債を圧縮し、財務内容改善が株式市場で評価されつつあった状況だけに、再び有利子負債が膨らむことに対する失望感は大きいだろう。スプリント・ネクステルが直近の11年12月期まで5期連続の最終赤字であることも警戒感に繋がっている。
そして何よりも、過去の日本企業による海外企業への大型M&Aでは、事業展開におけるシナジー効果など収益面で期待されたほどの成果が得られた例が少なく、のれん償却や減損なども含めて結果的に「高い買い物」となった例が圧倒的に多いことも、警戒感を強めることに繋がっている。もちろんM&Aは事業拡大に向けて有効な戦略であり、日本電産 <6594> のように、それほど巨額ではないM&Aを数多く実行して着実に収益化している例もある。成果が20年~30年後に得られる可能性もあるだろう。しかし大型M&Aに対して、20年~30年という長期スタンスで成果を待てる投資家は多くないだけに、ソフトバンクがどのような事業・収益・財務計画を示すかが注目されるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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