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本に載らない現場のノウハウ-中小企業の人事制度の作り方:第6回 等級制度の留意点(1)(1/2)
人事制度を構成する機能として、大きくは「等級制度」「評価制度」「給与制度」の3つに分けられます。この主要な機能ごとに、これから順にご説明していこうと思います。今回は、「等級制度」を検討していく上での留意点についてです。
■等級制度の基本的な構成
等級制度の構成というのは、「仕事の種類(職種)」×「ランクレベル(階層)」というマトリックスの形で示されることがほとんどです。これを基本に、例えば「一般社員クラスには高度技術職はない」とか、「部長クラスは技術系と管理系に分かれる」とかいうように、局所的にアレンジされます。
一見つぎはぎに見え、綺麗なマトリックス状にならないことが多いのもこのためですが、あくまで原点は「仕事の種類(職種)」×「ランクレベル(階層)」という形から始まっているということを意識しておいた方が良いでしょう。
この意識がないと、全体のバランスを考えないまま、特に中小企業の場合は、それこそ在籍している社員の顔を見比べながら、「ここのランクの数を増やそう」とか「ここは違う職種の分割をしよう」といった場当たり的な議論に陥りがちになります。
原型である「仕事の種類(職種)」×「ランクレベル」の構成を意識した上で、この箱とこの箱は機能的に統合する、この箱は分割するといった組み合わせをしていくと良いでしょう。
■等級ランクを分ける基準について
世の中に出ている様々な人事制度の解説書では、等級レベルを分ける際の基準について、「職能」「職務」「役割」「コンピテンシー(行動)」など、いろいろな言葉が出てきます。それぞれの言葉の定義はいろいろな所で解説されていますので、ここではあえて述べませんが、それぞれ別の考え方というよりは、概念やニュアンスの違いという部分が大きいように思います。
例えば要件書に「~ができる」と書けば職能的なニュアンスだが、「~をする(した)」と書き換えるだけで役割や行動に近いニュアンスになるといった具合です。
最近の傾向として、等級基準にしても評価にしても、「能力」というような潜在力まで含めた見えづらいものではなく、「成果」や「行動」など、具体的に見えるもので示すというところがありますが、経験や勘が大きくモノをいうような仕事であれば、これも一概に良いとは言えません。
結局、ある観点で社員の格付けをしようとする点ではそれぞれ同じことで、どんな基準を取り入れるかは、自社の業務がどんな仕事ぶりなのか、どんなニュアンスが理解しやすいのか、企業風土やマネジメントスキルから、それこそ担当者の好みまで含めて、会社によっていろいろだと思います。何を基準に用いるかに正解はなく、自社の状況、考え方次第ということでしょう。
自社の人事制度のコンセプトにフィットするのは何か、どういう内容だと理解を得やすいのかというような部分で決めていって良いと思います。
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