[仕事術]会議中のマルチタスクを禁じる

2012年8月23日 00:01

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この“ジョン”は、身体は会議に出席していましたが、自分のスマートフォンで電子メールをスクロールして見るのに忙しくしていました。これは、直接会議の場にしろ、テレビ会議の場にしろ、だれにでもある経験だと思います。

この“ジョン”は、身体は会議に出席していましたが、自分のスマートフォンで電子メールをスクロールして見るのに忙しくしていました。これは、直接会議の場にしろ、テレビ会議の場にしろ、だれにでもある経験だと思います。[写真拡大]

「どう思う、ジョン?」
「ああ、もう一度言ってくれますか?」

 この“ジョン”は、身体は会議に出席していましたが、自分のスマートフォンで電子メールをスクロールして見るのに忙しくしていました。これは、直接会議の場にしろ、テレビ会議の場にしろ、だれにでもある経験だと思います。

 ジョンはどちらも完璧にすることができると考えていましたし、この方が生産性もずっといいと思っていました。しかしやがて、意識を会議に完全に集中させなければならないところで、流れをつかみ損ねたことに気が付くのです。

 ジョンは今や会議の他の出席者たちの生産性も危うくしていました。質問を繰り返してもらうだけでなく、それ以前までの会議の内容も再び教えてもらう必要があったのです。

 Entrepreneur Magazine (企業家マガジン)では、重要な決定がなされるこういった会議に電子機器を持ち込むことを禁止することにした米コンサルティング会社アダプティブ・パスについて紹介しています。

 この決定に至る以前、アダプティブ・パス社では、携帯機器を操作していたりノートパソコンでメールをチェックしたりしている社員がいて、そういった人たちは会議に十分出席しているとは言えませんでした。結果、会議は期待されるほど生産的なものにはならず、それゆえ、さらに会議を開くことになっていたのです。

 これらの機器は創造性や意思決定力を促進する代わりに、実際には弱らせていた可能性があります。しかし、携帯機器等の持ち込み禁止といった方針が最初に導入されたときには衝撃的だったはずです。けれども、やがて、結果として生産性が向上し、会議に充てられる時間が減っていくのを、関係者は目にすることになります。

 このことは、人が一度に二つのことをしようとしている――殊に脳の同じ領域を使っている――ときは、一つのことに集中したあとにもう一つのことに意識を切り替えて取り組む場合より、思考速度が遅くなるという調査結果に関連しています。

※この記事はKey Organization Systems提供の記事を財経新聞が日本向けに翻訳・編集したものです。

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