方向感不確かな「マッチ・ポンプ」相場でパチンコ関連株に「マッチ・マッチ」展開を期待=浅妻昭治

2012年8月6日 14:04

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

揺さぶられ、振るい落とされる―――そんな不安心理が市場ムードを悪化させている。いまだに「リスク・オン」か「リスク・オフ」か方向感が不確かだからだ。

揺さぶられ、振るい落とされる―――そんな不安心理が市場ムードを悪化させている。いまだに「リスク・オン」か「リスク・オフ」か方向感が不確かだからだ。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  揺さぶられ、振るい落とされる―――そんな不安心理が市場ムードを悪化させている。いまだに「リスク・オン」か「リスク・オフ」か方向感が不確かだからだ。欧州債務危機は、収束に向かっているのか、なお波乱含みなのか、世界景気は減速を強めるのか、踏みとどまるのか、企業業績はアップ・トレンドかダウン・トレンドかなどなど、強材料と弱材料が混在して、皆目、見当がつかない。

  そのクセ、その不透明市場のバックに別の力学も働いて、投資家心理の逆をついているのではないかと疑心暗鬼も付き纏うから始末に悪い。それは、かつての仕手株相場で、チョウチンをつけて買い参戦した短期筋が、買い本尊に翻弄され当事者能力を失っていく投資家心理の過程と相似形となる。買ってハシゴを外され、売ってカツがれるのではないかと怯えさせる投資マインドを醸成する。

  欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁などは、いわばこの仕手株相場の本尊のテクニック丸出しであった。ユーロ防衛策への積極姿勢を示して期待感を煽っておいて、次にはこの発言を後退させハシゴを外して沈静化を図るなど心憎いほど市場心理の逆をついた。「空手形」などとコキおろす新聞論調もあった。

  かつて日本にも「マッチ・ポンプ」と揶揄された政治家がいた。国会で爆弾質問をして政治スキャンダルにマッチで火をつけ、何がしかの代償をフトコロに入れると、今度はポンプで水を掛けて沈静化させる政治手法を駆使、ついには刑務所の塀の内側に落ちてしまった。ドラギ総裁の「マッチ・ポンプ」は、この政治手法の踏襲なのか、それとも政策当事者の政策手詰まり感そのものの反映かは不透明である。

  今週も、各種相場見通しに目を通すと、なお「マッチ・ポンプ」続出への懸念が共通項として取り上げられている。日銀の金融政策決定会合に中国の主要経済指標の発表、3月期決算会社の4~6月期(1Q)業績の発表などの相場イベントが続くからだ。投資タイミングはますます微妙化、巧緻化が要求され、タイミングを間違うと買いでも売りでも二重にヤラれ、投資資金が最小化する心配だけが大きくなる。

  「マッチ・ポンプ」の圏外で、影響を最小化した投資行動を選択したいとするのは当然の投資家心理である。市場では内需株シフト、小型株選好などが強まっているのは、この反映である。外部環境に振り回されずに個々の銘柄の独自材料、投資価値に従って株価の高安を問う投資スタンスである。

  この延長線で注目したいのが、パチンコ関連株である。1Q決算発表でも、このパチンコ関連株に上方修正銘柄や好決算銘柄が相次いでおり、全般相場がなお波乱展開するなかで、ことによるとまたまた逆行高特性を再燃させるかもしれないからである。投資家自らが、主体性をもって投資判断を下せる展開も期待できることになる。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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