[仕事術]本当に働き過ぎ?

2012年7月23日 21:18

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 週40時間労働は夢のまた夢、と多くの人が感じています。60時間、70時間、ともすれば80時間働くよう求められるのが一般的になっています。

 2006年、ハーバード・ビジネス・レビューでは週70時間労働に言及する論文が発表されました。そこでは、知的専門職種では、それだけの時間働くよう求められるのがこれからの標準になると述べられています。

 けれども、実際のところ、人は大げさに言い過ぎる傾向があります。わざとではないかもしれませんが、実際に業務に費やされた時間を忘れてしまいがちなのです。

 どのように時間を過ごしているか、だれかに直接訊くよりも、米国労働統計局が毎年刊行している時間の使い方に関する調査報告書American Time Use (ATUS) を見てみましょう。調査員がもっと直接的な働きかけで、協力者に一日の活動を詳しく説明してもらったり、あるいは時間日記を書いてもらったりしています。

 これらの日記をつけ続けるのは大儀なことかもしれませんが、つけてみると時間の使い方についてより正確な結果がわかります。そして、人が思っている時間の使い方と記録された結果のあいだには、見て分かる食い違いがあるのです。

 1990年代、ジョン・ロビンソンは人々の週の推定労働時間(40~44時間)と時間日記(36.2時間)を比較しました。働く時間が長ければ長いほど、その差は大きくなりました。週に60~64時間働いていると思っていた人たちの実際の労働時間は44.2時間でした。65~74時間働いていると見積もっていた人たちの労働時間は、58.2時間と測定されました。

 ここに見られる食い違いを説明できる事例が一つあります。あまり生産的に働けず、残業する日がよくある、ということです。たとえ職場に12時間もいたとしても、12時間労働と同等に見なせるわけではないのです。

 マルチタスク(複数のことを同時すること)をすればするほど、注意が散る原因となるものを放っておけばおくほど、できる仕事は少なくなります。たとえ仕事に費やした時間で自分の重要性を示すことが「名誉の印」となったとしても、自分の生産性をどんどん下げながら会社にいる時間を引き延ばすよりは、午後5時に退社できるような役に立つタイムマネジメントの手段を採用するほうが、はるかに有効なはずです。

※この記事はKey Organization Systems提供の記事を財経新聞が日本向けに翻訳・編集したものです。

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