ロンドン五輪の金メダル関連株は「株価は夜つくられる」で「夜放れ」展開も有力=浅妻昭治

2012年7月17日 13:06

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

「何も決められない」マーケットみたいである。重要イベントを控えイベントの動向待ちとなっていたのが、イベントの通過後も、イベント前とは何も変わらないからだ。

「何も決められない」マーケットみたいである。重要イベントを控えイベントの動向待ちとなっていたのが、イベントの通過後も、イベント前とは何も変わらないからだ。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  「何も決められない」マーケットみたいである。重要イベントを控えイベントの動向待ちとなっていたのが、イベントの通過後も、イベント前とは何も変わらないからだ。そうやって7月相場も、月半ばを過ぎたが、マーケットはいまだに「リスク・オン」か「リスク・オフ」か方向性が定まらない。

  この間、EUサミットが開かれ、スペインの銀行への金融支援が決定され、主要各国の経済指標が発表され、EU・中国で金利が引き下げられ、日銀の金融政策決定会合が開催されるなどのイベントを通過していた。しかし、株価水準自体は、上にも下にも行かない。これは、日経平均株価ばかりでなく、NYダウも同様で、7月半ばの株価水準は、6月末とほぼ同レベルと小動きである。

  これは、日本の独自スタイルの「先送り」ではないかと思い当たる。いわゆる「日本化」である。今週の相場も、どの相場見通しに目を通してみても、イベントの動向次第とのコメントが目立つ。米主要企業の4~6月期の決算や米国の景気や住宅関連の経済指標、スペイン国債の入札状況などのイベント・スケジュールに注視とアドバイスされている。そのイベント通過で、株価が上か下に動くのか、それとも足元の相場と同様に小動きの域を脱せないのかは保証の限りではないというところだろう。

  イベントの前もイベントの後も「何も決められない、何も決めない」で誰もネコの首(株価)に鈴を付けられないでいるのである。こうなると「先送り疲れ」、「先送り飽き」も起きようというものである。

  そこでである。今週は、もっと身近なイベントに絞って関連株投資を考えてみることにしたい。結果のシロ、クロが即断即決されるイベントである。7月27日に開会式を迎えるロンドン・オリンピックである。このイベント、門外漢のゴールドマン・サックスが、国別の金メダル獲得数に関するリポートを発表したということだから、あながち「スポーツおたく」たちだけのお祭り騒ぎだけに終わらない可能性もある。そしてこの関連株が、人気セクターに浮上するかしないかは、開会式に先立つ25日、26日にほぼ「即断即決」される展開も想定されるのである。

  25日は女子サッカーの日本代表「なでしこジャパン」が、カナダを相手に予選リーグ第1戦を迎え、26日は男子サッカーの日本代表が、同じく第1戦を強豪スペインと戦う。昨年のワールドカップで優勝し国民栄誉賞を受賞した「なでしこジャパン」が、勝利のスタートを切れば、テレビのライブ中継は、途端に視聴率をアップさせる。

  これに続く男子代表も、ワールドカップ優勝、世界ランク第1位のフル代表の弟分になる強豪スペインに善戦すれば、さらに注目度は高まる。0対2以内の惜敗でも十分だが、これがもしかして引き分け、あるいは勝利を飾る「ロンドンの奇跡」でも引き起こそうものなら、国内の一段のヒートアップは間違いない。

  ゴールドマン・サックスのリポートでは、日本の金メダル獲得は8個と予想し、北京五輪の9個を下回る。日本オリンピック委員会の目標は、世界第5位以上で、それには15~18個の金メダルが必要になるが、ゴールドマンの予想は、その目標の半分と手厳しい。

  しかし、「なでしこジャパン」が好発進し、男子代表がスペインに善戦すれば、日本選手団を鼓舞する波及効果は大きく、金メダル獲得のボルテージは高まる。テレビのライブ中継は、時差の関係で日本時間の深夜に及ぶが、眠い目をこすりこすり、この2試合の結果を確認した投資家も、投資家心理を鼓舞されて関連株投資に踏み切るはずだ。「株価は夜つくられる」の名実ともの「夜放れ」である。もちろん関連株は、金メダル獲得に絡んだ銘柄となる。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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