世界の主要経済指標(分析と市場の反応)7月10日分

2012年7月11日 11:51

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【7月10日の主要経済指標と市場の反応】

■10日の世界の主要株式市場は高安まちまち、日本、中国、米国は景気減速に対する警戒感で下落

 10日の世界の主要株式市場は高安まちまちとなった。日本とアジアは中国の景気減速に対する警戒感を強めた。欧州はスペイン問題に対する警戒感の後退などで上昇した。米国は景気減速に対する警戒感を強めて下落した。外国為替市場はユーロ売りが優勢だった。

≪10日 日本≫

 6月マネーストック統計(速報)でM3平均残高は前年同月比2.0%増加の1124兆7000億円だった。5月に比べて伸び率が小幅に拡大した。

 6月消費動向調査で消費者態度指数(一般家庭)は40.4となった。前年同月比では4.9ポイント上昇したが、前月比では0.3ポイント低下した。2カ月連続の低下となり、市場予想を下回った。内閣府は消費マインドの判断を、前月の「持ち直し傾向にある」から「ほぼ横ばいになっている」に下方修正した。

 日本株式市場は下落した。中国6月貿易統計で輸入の伸び率が市場予想を下回ったため、中国の景気減速に対する警戒感を強める形となった。外国為替市場では終盤にユーロ売りが優勢になった。

≪10日 アジア・オセアニア≫

 中国6月貿易統計は317億ドルの黒字となり、5月(187億ドルの黒字)に比べて黒字幅が拡大し市場予想も上回った。輸出は前年同月比11.3%増加して市場予想を上回ったが、輸入は同6.3%増加で市場予想を下回ったため、内需の弱さが意識されて中国株式市場はややネガティブに反応した。

 なお1~6月累計で見ると貿易収支は689億ドルの黒字、輸出は前年同期比9.2%増加、輸入は同6.7%増加となった。貿易総額(輸出+輸入)は同8.0%増加と1桁の伸び率にとどまり、EU向け輸出の低迷などで今年の目標である10%前後の増加に届いていないことも警戒感につながった。

 アジアの主要株式市場は高安まちまちだった。中国6月貿易統計を受けて上海と香港は軟調となった。

≪10日 ユーロ圏≫

 ユーロ圏財務相グループは日本時間10日朝、会合後の声明でスペインの銀行セクター支援策について7月20日までに最終的に承認する方針を明らかにした。スペインの財政赤字目標の達成期限の1年延長を承認し、緊急に必要性が生じた場合には7月末までに約300億ユーロを融資できるとした。

 金融支援はESM(欧州安定メカニズム)が稼働するまでEFSF(欧州金融安定基金)を通じて提供され、その後ESMに移管され、ESMに債権者としての優先的地位は与えられないとした。さらに「銀行とソブリンの悪循環を断ち切るため、ESMによる銀行への直接的な資本注入に関する技術的な議論を9月にスタートさせる。有効な単一の監督メカニズムが確立されれば、正式な決定後にESMは銀行に直接資本注入することが可能になる」とも述べた。

 10日のEU財務相理事会でも、スペインの財政赤字目標の達成期限の1年延長を承認した。

 一方でドイツの憲法裁判所は10日、ESMと新財政協定に反対のグループが違憲だとして提訴している問題で審理に応じることを決めたが、判断を下す日程については明らかにしなかった。ドイツ議会は6月にESMを承認しているが、ガウク大統領は憲法裁判所が承認するまで署名しない方針を示しているため、ESMの7月発足予定に対して不透明感が増している。

 またロイターによるとイタリアのモンティ首相は10日、イタリアが債務負担を軽減するためユーロ圏救済基金による国債買い入れを要請する可能性があることを明らかにした。

 欧州の主要株式市場は上昇した。ユーロ圏財務相会合でのスペイン銀行セクターに対する支援策承認や、スペイン10年債利回り低下などで警戒感がやや後退した。外国為替市場ではユーロ売りが一服する場面もあったが、ドイツ憲法裁判所の判断先送りを受けて、終盤は再びユーロ売りが優勢になった。

≪10日 米国≫

 前日9日の取引終了後に米アルコアが発表した4~6月期決算は、アルミニウム価格の下落などで最終損益が赤字となった。米アドバンスト・マイクロ・デバイスは売上高見通しを下方修正した。

 米国株式市場は下落した。欧州株式市場の上昇を受けてダウ工業株30種平均株価は買い優勢でスタートし、一時は前日比94ドル高まで上昇する場面があった。しかし景気減速に対する警戒感が強く、前日取引終了後の米アルコアの最終赤字決算、米アドバンスト・マイクロ・デバイスの売上高見通し下方修正に続き、米アプライド・マテリアルズ、米カミンズなども相次いで業績見通しを下方修正したため、景気に対する警戒感が広がった。一時は前日比129ドル38セント安まで下落する場面があった。外国為替市場ではユーロ売りが優勢だった。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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