大王と北越紀州が資本提携を正式発表、創業家との騒動に終止符

2012年6月26日 17:51

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 大王製紙は26日、6月26日付で、井川髙雄氏、井川意高元会長ら創業家および北越紀州製紙と、大王製紙の株式及び関連会社等株式の譲渡に関わる合意に至ったと発表した。

 今回の合意により、創業家は、保有する大王製紙株式、関連会社等株式、および創業家資産管理会社であるファミリー企業株式を北越紀州製紙に売却する予定。北越紀州製紙は、創業家保有の大王製紙株式、関連会社等株式、およびファミリー企業株式を取得する。また、一部の関連会社等が保有する大王製紙株式も取得する。その後、大王製紙は、北越紀州製紙が取得した株式のうち、全ての関連会社等株式およびファミリー企業株式(大王商工株式会社を除く)を北越紀州製紙から譲受ける。

 これら取引の実施により、北越紀州製紙は大王製紙株式の発行済株式数に対する割合19.6%(総株主の議決権の数に対する割合22.1%)を保有する主要株主となる予定。また、今回の取引により、大王製紙グループの連結子会社は18社増加し、2011年9月30日時点の37社体制へ戻る見込み。

 大王製紙は、同社グループの企業からの元会長への貸付金問題以降、創業家およびファミリー企業の保有する関連会社株式の買取の要請を行ったが、2012年3月14日、創業家より、大王製紙への株式売却の意図がない旨の書面による回答を得た。これを受け、大王製紙としては、引き続き関連会社株式を買い取る用意を整えつつも、連結子会社19社を軸とした企業グループ体制を前提としてガバナンス体制を構築するとともに、今後の事業計画の骨子を策定してきた。

 しかし、大王製紙グループにおいて企業価値を最大化させ、コーポレートガバナンスを最も効果的に統制できる理想の姿は関連会社の子会社化であったことから、今回、従前からの技術提携および資本提携関係にある北越紀州製紙による協力の下、創業家、北越紀州製紙、大王製紙の間で株式の譲渡に関わる合意に至った。

 今回の取引を通じて、創業家は直接的・間接的に保有する大王製紙株式、関係会社株式を売却するため、大王製紙グループに対する株式保有関係はなくなる。また、創業家は関連会社等役員から退任する予定。なお、井川高博氏については、2012年6月27日に大王製紙役員から退任する予定。

 一方、井川髙雄氏については、大王製紙の発展に果たした貢献に敬意を払い、同社顧問に就任してもらう予定だという。なお、井川髙雄氏の役割は、グループ全体の経営権、人事権を有するものではなく、製紙業界に対する深い知見を活かして、同社役員へ必要に応じて助言してもらうことを予定しているという。

 また、元会長へ貸付を行った7社との間で締結されている譲渡担保権設定契約に基づく担保権は、現在、実行期限を延長しているが、今回の取引による弁済の見込みがたったことから、同取引完了後、元会長より、当該7社に対して直ちに返済が行われる予定。

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