世界の主要経済指標(分析と市場の反応)6月21日分

2012年6月22日 11:47

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【6月21日の主要経済指標と市場の反応】

■欧州株はスペイン利回り低下で概ね上昇、米国株式市場は主要経済指標低調で下落

  21日の日本株式市場は上昇した。米FOMC(連邦公開市場委員会)通過や円高一服が安心感につながった。

  アジアの主要株式市場は概ね軟調な展開だった。中国6月製造業PMI(購買担当者景気指数)が低水準だったことなどが弱材料視された。

  欧州株式市場は概ね下落した。スペイン10年債利回り低下は支援材料だったが、米株安を受けて下落に転じた。

  米国株式市場は下落した。低調な主要経済指標を嫌気した。

  なおロイターが「格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、世界の大手金融機関17社の格付け見直しの結果を21日にも発表するとみられる、22日にずれ込む可能性もある」と報じ、その後ムーディーズは大手金融機関15社の格付け引き下げを発表した。2月に見直し着手を明らかにしており、3月には2社の格付けを引き下げていた。

≪21日 日本≫

  主要経済指標の発表はなかったが、日本株式市場は上昇した。米FOMCを通過して追加緩和に対する期待感が一巡し、為替がやや円安方向に傾いたことが安心感につながった。

≪21日 アジア・オセアニア≫

  金融大手HSBCが発表した中国6月製造業PMI(購買担当者景気指数)速報値は48.1となり、5月確定値の48.4に比べて低下した。好不況の分かれ目となる50を8カ月連続で下回った。新規輸出受注が落ち込んだ。

  中国の香港および上海株式市場は下落してスタートしたが、この指標を嫌気して下落幅を広げる展開となった。また韓国、台湾などのアジアの主要株式市場も概ね下落した。

≪21日 ユーロ圏≫

  ユーロ圏4月経常収支は季節調整前で16億ユーロの黒字となった。3月の87億ユーロの黒字に比べて大幅減少した。季節調整後では46億ユーロの黒字となり3月の103億ユーロの黒字に比べて大幅減少した。

  ユーロ圏6月総合PMI(購買担当者景気指数)速報値は46.0だった。5月と同水準で市場予想を上回ったが、景況改善・悪化の分かれ目となる50を下回った。6月製造業PMI速報値は44.8で5月の45.1に比べて低下した。09年5月以来の低水準となったが、市場予想とほぼ同水準だった。6月サービス部門PMI速報値は46.8で、5月の46.7に比べて若干改善し市場予想も上回った。なお独6月総合PMI速報値は48.5で、5月の49.3に比べて大幅に低下した。

  ユーロ圏6月消費者信頼感指数速報値はマイナス19.6となった。5月のマイナス19.3に比べてやや悪化したが、市場予想は上回った。

  英5月小売売上高は前月比1.4%増加、前年同月比2.4%増加となった。4月改定値の前月比2.4%減少(同2.3%減少から下方修正)、前年同月比1.1%減少(速報値から修正なし)に比べて改善し、市場予想も上回った。ただし4月の減少の反動との見方が有力な模様だ。

  スペイン中期債入札では、落札利回りは前回入札に比べて上昇したが、応札倍率は全ての年限で前回入札を上回り、総額22億ユーロを調達し目標額を上回った。

  欧州株式市場は概ね下落した。前半は、スペイン中期債入札が順調な結果となり、10年債利回りも低下したことで安心感が広がったが、米国株式市場の下落を受けて、欧州の主要株式市場も軟調な展開となった。外国為替市場ではユーロ買い・円売りが優勢だった。

≪21日 米国≫

  米新規失業保険申請件数は38.7万件となった。前週改定値の38.9万件(38.6万件から上方修正)に比べて0.2万件減少したが、市場予想を上回った。4週移動平均は38.625万件となり、前週時点の38.275万件に比べて増加した。

  米4月住宅価格指数は前月比で0.8%上昇、前年同月比で3.0%上昇となった。3月の前月比1.8%上昇に比べてやや鈍化したが、市場予想を上回った。

  米5月中古住宅販売件数は年率換算455万件、前月比1.5%減少となった。4月の年率換算462万件、同3.4%増加に比べて悪化し市場予想をやや下回った。5月の価格中央値は18.26万ドルで4月改定値の17.37万ドル(17.74万ドルから下方修正)に比べて上昇した。

  米5月景気先行指数(コンファレンス・ボード)は前月比0.3%上昇となった。4月の同0.1%低下に比べて改善し、市場予想も上回った。

  米6月フィラデルフィア地区連銀製造業景気指数はマイナス16.6となった。5月のマイナス5.8に比べて悪化し市場予想も大幅に下回った。2カ月連続で業況判断の分かれ目となる0(ゼロ)を割り込んだ。

  米6月製造業PMI速報値は52.9となり、5月の54.0に比べて低下した。外需が低迷した。

  北米半導体製造装置メーカーの5月BBレシオ(出荷額に対する受注額の割合)は1.05となった。受注額(3カ月移動平均)は前月比0.6%増加の16.1億ドルだった。受注額は11年5月以来の高水準だった。

  米国株式市場は大幅下落した。主要経済指標が概ね低調な内容だったことを受けて景気減速に対する警戒感が強まった。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが世界の大手金融機関17社の格付け見直しの結果を21日にも発表するとみられるとの報道も嫌気された。外国為替市場ではドル買い・円売りが優勢だった。原油先物取引でWTIは1バレル=80ドル台を割り込んだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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