世界の主要経済指標(分析と市場の反応)6月11日分

2012年6月12日 09:42

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【6月11日の主要経済指標と市場の反応】

■日本やアジアの市場は概ねスペイン銀行救済を好感、しかし欧米市場は警戒感再燃で不安定な動き

  11日の日本株式市場では、前週末の米株高や円高一服を受けて上昇し、前週末8日の下落分を取り戻す形となった。アジアの主要株式市場も概ね上昇した。

  中国・上海株式市場はスペイン銀行救済などを好感して上昇したが、9日~10日発表の主要経済指標に対しては警戒感も強く、伸び悩む場面もあった。

  欧州および米国の株式市場は、アジアの主要株式市場の上昇を受けて買い優勢でスタートしたが、スペインの国債利回り上昇やギリシャ再選挙への警戒感などで不安定な動きとなった。米国株式市場は大幅下落で取引を終了した。外国為替市場ではユーロ売りが優勢になった。

≪11日 日本≫

  4~6月期法人企業景気予測調査で、景況判断指数は大企業全産業でマイナス3.1となった。前回調査に比べて0.4ポイント低下し3期連続で悪化した。内訳を見ると大企業製造業がマイナス5.7で前回のマイナス7.3に比べて改善した。自動車や電機が悪化したが、食品や化学が改善した。大企業非製造業はマイナス1.6で前回のマイナス0.1に比べて悪化した。建設などが悪化した。先行きの7~9月期は大企業全産業でプラス8.8、10~12月期はプラス8.8となった。市場は反応薄だった。

  5月消費動向調査で、消費者態度指数(一般家庭)は40.7となった。4月に比べて0.7ポイント上昇し、2カ月ぶりの上昇だった。前年同月比では6.3ポイント上昇した。

≪11日 アジア・オセアニア≫

  9日~10日に中国の主要経済指標が発表された。

  9日発表の中国5月CPI(消費者物価指数)は前年同月比3.0%上昇となり、4月の同3.4%上昇に比べて鈍化した。2年ぶりの低い伸び率で市場予想も下回った。品目別には、食品が同6.4%上昇で4月の同7.0%上昇に比べて鈍化した。豚肉は同0.6%の下落に転じた。中国5月卸売物価指数(工業生産者出荷価格指数)は前年同月比1.4%下落で、4月の同0.7%下落に比べて下落幅が拡大し、3カ月連続の下落となった。景気減速が鮮明になった形だった。

  中国5月工業生産は前年同月比9.6%増加で、4月の同9.3%増加に比べて改善したが、2カ月連続で1桁の増加にとどまった。中国5月固定資産投資は前年同月比20.1%増加で、4月の同20.2%増加とほぼ同水準だった。中国5月小売売上高(社会消費品小売総額)は前年同期比13.8%増加で、4月の同14.1%増加に比べて鈍化した。

  中国5月新車販売台数(中国国内生産分の工場出荷ベースで輸出含む)は、前年同月比16%増加の160万7200台だった。東日本大震災の影響で減少していた日系メーカーの反動増が寄与した。

  10日発表の中国5月貿易収支は187億ドルの黒字で、4月の184億ドルの黒字を上回り、市場予想も上回った。5月の輸出は前年同月比15.3%増加となり4月の同4.9%増加に比べて大きく伸びた。また5月の輸入は同12.7%増加となり、4月の同0.3%増加に比べて大きく伸びた。

  前日9日発表の工業生産などがやや低調だったことに加えて、10日発表の貿易統計も市場予想を上回ったとはいえ、1~5月累計では11年に比べて減速感が強く、中国経済が低迷を脱したと判断するのは時期尚早として、金融緩和が継続するとの見方が優勢のようだ。11日の中国株式市場はスペイン銀行救済なども好感して上昇したが、伸び悩む場面もあった。

≪11日 ユーロ圏≫

  9日、ユーロ圏財務相が緊急の電話会議を開催して、スペインに対して最大1000億ユーロの金融支援を実施することで合意した。この合意を受けてスペイン政府は、現在実施している国内銀行の資産内容などの監査の結果、必要な資金額が判明した後に、ユーロ圏諸国に銀行部門への支援を正式に要請する見込みとなった。スペイン政府は21日までに第1次審査を終えると発表済みのため、21日のユーロ圏財務相会合までに要請の見通しだ。

  スペインへの支援は銀行部門に限られ、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルのように、財政健全化や構造改革に厳しい支援条件は課されない見通しである。また実際の支援は、スペイン政府が設立している銀行再編基金(FROB)が、EFSF(欧州金融安定基金)または7月稼働予定のESM(欧州安定メカニズム)から支援を受けて、支援が必要な銀行に資本を注入する案が有力な模様である。

  この件に関しては前週末8日に観測報道があり、米国株式市場ではスペイン銀行救済に対する期待感が広がっていた。そして11日の欧州株式市場でも序盤は好感する動きが優勢だったが、総じて不安定な動きとなった。ギリシャ再選挙に向けての警戒感も強く、債券市場で一旦は低下していたスペインとイタリアの国債利回りが上昇に転じたことを嫌気して上昇幅を縮小し、前日比マイナス圏に沈むところもあった。外国為替市場ではユーロ売りが優勢になった。

≪11日 米国≫

  主要経済指標の発表がなく、米国株式市場はアジアや欧州市場の株式上昇を受けて買い優勢でスタートした。しかしギリシャ再選挙に向けての警戒感も強く、債券市場で一旦は低下していたスペインとイタリアの国債利回りが上昇に転じたことを嫌気して、リスク回避の売りが優勢になった。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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