生産性向上のための体重測定:肥満問題

2012年5月16日 22:18

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肥満には健康やライフスタイルの要因を超えた問題があります。すなわち、職場の生産性に肥満が関係しているという問題です。

肥満には健康やライフスタイルの要因を超えた問題があります。すなわち、職場の生産性に肥満が関係しているという問題です。[写真拡大]

 米国では、肥満のまん延に関してニュースでしきりに取りざたされています。そうした状況の中で、ミシェル・オバマ大統領夫人は児童・生徒が抱えるこの問題に重点的に取り組んでいます(編注:本記事は2010年6月に執筆されたものです)。しかし、肥満には健康やライフスタイルの要因を超えた問題があります。すなわち、職場の生産性に肥満が関係しているという問題です。

 このことに関して、2009年に開かれた肥満学会(Obesity Society)の年次大会では、太り過ぎの人はそうでない人に比べて生産性が低いという発表がありました。

・太り過ぎの人はより不健康な傾向にあり、そうでない人に比べて欠勤する時間数が多い。
・職場において病的に太っている人は生産性が低く、日にちに換算して年に22日分損失していることになる。

 これら二つの要因は、企業がこの特定の身体問題にまだ取り組む必要のない国々に製造拠点を置くようにしている理由にもなっています。

 なお、2010年度の新しい医療保険改革法案では、以前は未加入だった肥満の人を非常にたくさん被保険対象者に含むことになりました。生産性の向上については想定されないまま、予測される予算が増大することになったのです。

 米国疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention)と肥満学会(Obesity Society)による現在の計数は下記とおりです。

・1,429ドル:標準体重の人たちに比べて、2006年に肥満の人に余計にかかった医療費
・128億ドル: 肥満が原因の常習的欠勤によってアメリカ企業が負う年間損失額
・300億ドル: 肥満が原因による生産性低下で、アメリカ企業が負うとされるおよその年間損失額
・28億ドル: 1960年に比べて車に乗る体重が増えた結果、2005年に買われた余分のガソリン代

 職場での差別は決してあってはならないもので、問題を抱えた人への理解は思いやりのある職場環境や社会に現れています。しかし、会社がすでに人員に「余裕がない」状況にある場合には、その仕事にふさわしい最高の人材を雇おうとする際に、上記の数字が影響を及ぼすことになるでしょう。

※この記事はKey Organization Systems提供の記事を財経新聞が日本向けに翻訳・編集したものです。

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