風力発電によって気候が変動する可能性

2012年5月8日 07:00

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記事提供元:スラド

taraiok 曰く、 ニューヨーク大学・Liming Zhou准教授の研究結果によれば、大規模な風力発電所の敷設は、地域の気象パターンに大きな影響を与える可能性があるという。実際、テキサスにある世界最大の風力発電所周辺の気温変化を人工衛星を使って観測したところ、10年間で約1℃の気温上昇が見られたという(The Telegraph本家/.)。

 この2003年から2011年までの測定結果によると、風力発電所周囲の地表面温度は持続的な上昇傾向にあり、温暖化の空間パターンは風力タービン設置場所や増加に関連しているという。とくに温暖化傾向が見られたときは年間あたり0.72℃の夜間温度上昇が見られたとしている。

 太陽が沈んで夜になると周囲の地面や空気が冷やされるが、巨大な風力発電所のタービンで風の運動エネルギーを電気に変換すると、暖かい空気と冷たい空気が混ざったり、風のエネルギー量や湿気などが変わってしまう。これが気温上昇の一因と見られるという。そのほか雲の形成パターンの変化による雨量の変化、野生動物の生活パターンへの影響といった可能性もあるとし、さらなる研究が必要だとしている。

 ただし、ほかの地球温暖化要因よりは影響は少なく、この傾向も大規模施設に限定されるようだ。

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