JAXA、セシウムの分布を画像化する「超広角コンプトンカメラ」を試作

2012年3月30日 10:55

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超広角コンプトンカメラでの撮像結果(画像:JAXA)

超広角コンプトンカメラでの撮像結果(画像:JAXA)[写真拡大]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日、次期X線天文衛星「ASTRO-H」に搭載予定のガンマ線観測センサの技術を応用し、ガンマ線を放出する放射性物質の分布を可視化する新しい装置「超広角コンプトンカメラ」を試作したと発表した。

 同装置は、広い視野(ほぼ180度)と核種に固有なガンマ線を識別する能力を生かして、敷地や家屋に広く分布したセシウム137やセシウム134を画像化できるのが特徴。これにより、サーベイメーター等を用いた人力による従来の調査では困難であった、屋根などの高所に集積する放射性物質も画像化することが期待される。

 今年2月11日、JAXAと日本原子力研究開発機構(JAEA)並びに東京電力は、計画的避難区域に指定されている福島県飯館村草野地区において、「超広角コンプトンカメラ」を用いた線量測定及び撮像試験による実証試験を実施。撮像試験の結果、従来のガンマカメラに比べ格段に広い視野での放射性セシウムの分布の高精度画像化に成功した。

 今後、JAXAとJAEAは、東京電力の協力のもと「超広角コンプトンカメラ」を用いた放射性物質の除染作業等について、実用化に向けた検討を進めるという。

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