基調強い中で年度末接近で休息も=犬丸正寛の相場展望

2012年3月16日 17:22

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

来週(19~23日)は、『若干の休息相場』となりそうだ。とくに、日経平均の30日線との乖離率は6%程度に拡大。値固めの必要なところにある。

来週(19~23日)は、『若干の休息相場』となりそうだ。とくに、日経平均の30日線との乖離率は6%程度に拡大。値固めの必要なところにある。[写真拡大]

■注目は2013年3月期の業績、1株利益750円がポイントか

  来週(19~23日)は、『若干の休息相場』となりそうだ。とくに、日経平均の30日線との乖離率は6%程度に拡大。値固めの必要なところにある。

  「ユーロ不安が後退」し、「タイ洪水の影響も一巡」。「アメリカ景気の回復」、「日本での東日本復興のツチ音の高まり」、「次期(2013年3月期)業績回復見通し」など、明るい材料に投資家心理は期待を次第に膨らませている。

  しかし、中長期スタンスの投資家にとっては、「過大な不安心理は薄くなった」ものの、まだ、「手放しの楽観」という状況ではないという見方は根強い。このため、日経平均が1万円台を回復したものの、「バスに乗り遅れるな」という心理にはなっていない。まだ、病み上がりの後の相場である。その分、相場に過熱感はない。

  4月新年度になれば、数ヶ月後にやってくる「暑い夏」のことがある。原発運転再開にはメドが立っていない。しかも、このところの原油価格やLNG(液化天然ガス)の価格高騰がある。果たして、電力料金値上げが1度だけで済むかどうか。値上げの圧迫だけでなく電力供給量の心配がある。

  本来なら脱デフレ政策を採る政府・日銀には、電力料金値上げはインフレの誘い水となるところだろう。しかし、電力料金値上げを製品・商品・サービス価格に上乗せできる企業は数少ない。むしろ、企業の日本脱出に拍車をかける心配があり雇用には厳しい状況も予想される。

  ポイントとなるのは、期待される企業業績がどのていど回復するか。たとえば、足元での日経平均予想1株利益は約435円。今年初め頃の約650円ていどから大きく下がっている。この1株利益が2013年3月期にどのていどまで回復するかが、これから「3月期決算発表」を控えて最大の見所である。

  仮に、次期の1株利益が年初の650円前後まで回復するていどにとどまるのなら、買方には失望感も予想される。当然、売方は攻勢をかけるよりどころとなるはずだ。この点についてマーケットでは、「円安効果がある一方、原油高騰のマイナスがあります。このあたりの綱引きではないでしょうか。2013年3月期の日経平均ベースの1株利益750円ていどが攻守のポイントではないでしょうか」(株式評論家・海老原紀雄氏)。

  日経平均は、まもなく、東日本震災発生直前、3月10日(終値)1万0434円を回復する。当然、先行する株価に対し、「日本経済は復興前水準を回復したのだろうか。先行き日本は再生できるのだろうかという比較の視点も出てくる」(中堅証券)。

  ただ、秋に大統領選挙を控えているアメリカは、その半年前の4~6月頃までは景気刺激のアクセルを踏むことが予想される。日本も、景況が悪化すれば、「物価上昇政策」の第2弾を打ち出すものとみられる。日米とも「インフレ政策」を採っている現在、政策の転換の兆しがでるまでは基調は強いとみてよいだろう。その強さの中で、年度末を控え、しばらくの休息だろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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