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ここがポイント-会社を伸ばす中小企業の採用戦略:第12回 内定者フォローの取り組みについて(1)
無事に内定承諾までこぎつけ、あとは入社日を待つばかりとなれば、採用担当の方としては一安心でしょう。
確かに中途採用の場合であれば、入社が内定すれば、実際の入社日までは、長くてもせいぜい1か月、2か月くらいで、入社までの期間を特別に意識しなければならないことは少ないですから、一安心でも良いでしょう。
しかし新卒採用の場合は、実際の入社日までに相応の期間があることがほとんどです。
10月ごろに内定式というようなイベントをやる会社が多いですから、普通でも入社まで半年以上先、中には1年以上先という人もいるくらいの"内定"期間があります。この期間をどう使うかということは、新卒採用では実は非常に重要です。
今回は、新卒採用中心になりますが、内定者フォローの考え方、内定期間の有効な使い方について、少しご説明しようと思います。
■なぜ内定者フォローが必要か?
「なぜ内定者フォローが必要なのか」と問われれば、私は単純に「期間があるから」と答えます。
まず、実際に入社するまでの期間があるために、内定者は心が振れ動きます。期待したり不安になったり、自分を肯定したり否定したり、いろいろ考えるのは当然です。もしも入社への不安が大きくなったり否定的な気持ちが強くなったとしたら、最悪は内定辞退ということもあり得ます。(この点は中途採用でも共通するところです。)
一方で、期間があるから準備をすることができます。足りない物は学ぶことができ、知らないことや不安なこと、心配事を前もって確認したり解決する事ができます。期待や希望や目標を見つける事ができますし、人とのつながりを深めることもできます。
期間があるためにできること、起こり得ることがたくさんあるにもかかわらず、ここに会社が関与せずに、すべて内定者まかせにしたとしたら、何が原因でどんな方向に転ぶかわかりません。せっかく期間があるのなら、会社にとっても内定者にとっても、有効に使えればその方が良いに決まっています。
良く言われる内定者フォローの目的には、以下のようなことが挙げられます。
・内定辞退を防ぐ
・無用な不安を取り除く
・入社に向けたモチベーションアップを図る
内定期間は婚約期間と考え、うまく付き合いを深めることを意識する必要があると思います。両想いだったのに、会う機会が減っていつの間にか別れてしまった、なんてことにならないようにしなければなりませんね。
■「心の準備」をする大切な切り替え期間
近年の学生さんたちの就職活動は、非常に厳しいものがあります。本当にいろいろな苦労をして、ようやく内定を手にしています。厳しいがゆえに、内定した時の達成感、安心感は非常に大きなものがあります。
ただ、内定は就職活動ではゴールですが、仕事をするということでいえば、そのスタートラインにつく権利を得ただけです。ある大手企業の担当者に伺ったのですが、最近の内定者の中には、就職活動を勝ち抜いて、大手企業の内定を手にした"就職活動の勝者"として、そこで満足して燃え尽きている人がいるのだそうです。なかなか入れない大手企業ならではのお話かもしれませんが、厳しい就職活動をくぐってきているがゆえに、その後の切り替えがしづらい傾向は、どんな企業でも多かれ少なかれあります。
ですから内定期間というのは、学生から社会人へ、求職者から社員へという「心の準備」をしてもらう上で、とても重要な期間になります。以前よりもさらに重要さは増しているといえます。
「心構えなんて自分でするもの」という認識の採用担当の方もいらっしゃいますが、社会人生活がまだまだ空想の世界にある内定者に対して、自分だけで準備をしろというのは、やはり酷だと思います。
内定者フォローというのは、期間が限定されているので、やらなければやらないで過ぎてしまいますし、効果もイマイチ評価しづらいことから、優先順位が低くなりがちですが、こんな時代だからこそ、まだ学生という立場である内定者の「心の準備」を手助けすることも、会社の大切な役目なのではないかと思います。あまり軽く見ていると、痛い目にあうことがあるかもしれません。
次回は、内定者フォローを実施にあたっての注意点や、実際にどんなことをするかなどの取り組み事例について、お伝えしようと思います。
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