JFEスチール、西日本製鉄所で世界最厚レベルの高強度鋼管製造が可能に

2011年12月12日 12:27

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新プレス機で製造した鋼管(画像:JFEスチール)

新プレス機で製造した鋼管(画像:JFEスチール)[写真拡大]

 JFEスチールは12日、従来から進めているUOE鋼管の高級化戦略の一環として、西日本製鉄所(福山地区)の溶接管(UOE)工場において高強度厚肉鋼管製造設備を増設したと発表した。加えて、UOE鋼管の原板を製造する厚板工場において、TMCP技術を支える主要冷却設備である『Super-OLAC』を改良し、より厳格な仕様の厚板製造が可能となった。

 世界のエネルギー需要は拡大を続けており、天然ガスや石油の開発地域や開発環境は多様化している。今後は、より遠方からの大規模かつ効率的な輸送のための高圧操業化や使用鋼材量の低減を可能とする高強度化が進むとともに、地震・凍土地帯などのより苛酷な環境下での輸送を可能とする高変形性能を有する厚肉化の要求も高まっている。

 これらのニーズに応えるため、JFEスチールは西日本製鉄所(福山地区)の溶接管(UOE)工場において、従来のプレス機に併設して独自のベンディング型プレス機を増設。これにより、高強度UOE鋼管の製造可能管厚はAPI X70では34mmから45mm、X80では33mmから40mmへと拡大し、世界最厚レベルの厚肉鋼管の製造が可能となった。また、新プレス機の荷重は1万トンの能力があり、高い生産性を有している。10月3日に稼働を開始し、現在順調に営業生産を行っている。

 また、今年3月には、西日本製鉄所(福山地区)の厚板工場において、冷却設備である『Super-OLAC』に改良を加えた『Super-OLAC-A(Advanced)』が稼働。冷却速度が向上するとともに、鋼板の均質性も向上することによって、低温靭性かつ高強度、低温靭性かつ高変形性能など、より厳格かつ複合的な仕様に対応でき、溶接性にもより優れた厚板の製造が可能となった。

 これら一連の設備投資の結果、低温靭性に優れた高強度厚肉鋼管、耐サワー(硫化水素腐食防止)厚肉鋼管、深海用耐コラプス性(圧潰性)厚肉鋼管、高変形性能鋼管『HIPER』など、様々な使用条件に対応した高級UOE鋼管を幅広いサイズで供給できるようになった。JFEスチールは、高級UOE鋼管の販売量を従来の年間10万トンから2012年度内には年間30万トンレベルまで拡大することを目指す。

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