死の触手「ブライニクル」が南極の海中で撮影される

2011年11月27日 10:20

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記事提供元:スラド

あるAnonymous Coward 曰く、 氷点下の塩水が海中を沈み込む際に観測される自然現象「ブライニクル(brinicle)」の一部始終をBBCが撮影した。撮影場所は南極のリトル・レーザーバック島。低速度カメラの映像である。 映像はリンク先の記事で見ることができる(BBC Newsの記事)。

ブライニクルは、海氷から海中へ流れ出た0℃未満の濃い塩水が周囲の海水をさや状に凍らせながら海中を沈んでいく現象。ブライニクルが海底に達するとクモの巣状に氷が広がっていき、逃げ遅れたウニやヒトデは凍死する。

海氷から流れ出る塩水が海中を沈んでいくほど濃く冷たい理由は、海氷が作られるプロセスにある。冬場、海水面付近の気温が-20℃以下なのに対し、海水は-1.9℃程度と温度差が大きい。そのため、熱が空気に吸収されて水面付近の海水が凍る。氷の結晶が形成される過程で結晶から塩分が排除され、その結果として残った濃い塩水による微細な3次元構造が氷中に出来上がる。つまり海氷とは、濃い塩水が染み込んだ氷のスポンジのようなものなのである。そして温度などの条件が揃うと何らかの理由で海氷から濃い塩水が染み出して、ブライニクルとなるのである。

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