【話題】『上昇が目立ち始めたPER』、相場に要警戒も=犬丸正寛

2011年11月10日 11:54

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■政治が景気、企業業績に不安与える

  日経平均ベースのPER(株価収益率)が、9日(水)で15.5倍と上昇している。夏場頃は12~13倍だったから、ここに来て、際立って上昇している。

  PERは、「株価」÷「1株利益」=倍、で求める。昨日、今日の足元での日経平均は下がっているものの、今朝(10日)の安値8519円は、まだ8月中旬頃と同じ水準である。つまり、「株価が上昇したことによってPERが高くなった」ということではない。株価水準は、夏場以降、大きく変わらない中でPERが高くなっている姿である。

  ということは、「分母」の、「1株利益」が下がっていることになる。9月の本・中間決算発表で日経平均に採用されている(225社)主力企業に業績の下方修正など不振が目立つ。トヨタ自動車 <7203> 、ソニー <6758> 、パナソニック <6752> など。

  日本は、「東日本大震災」の打撃を乗り越えて回復に向かおうとしていたところへ、「EUの金融不安」、「円高」、「中国など新興国経済の減速」、「タイ洪水」などが企業業績に影を落としている。

  気になるのはPERがどこまで上昇するかである。そのカギを握っているのは「1株利益の行方」、つまり、「企業業績の先行き」である。かつての金融ショックのときのように最終損益が赤字になれば1株利益算出は不可能となってしまう。当然、株価は割高を是正するために下げる。

  本来は、いまごろ、海外の不振を復興特需でカバーして企業業績は先行きに期待が持てるはずだった。6月の菅前総理のドタバタ劇で政治空白を作り景気に悪影響となっている。

  今また、TPP、消費税問題等で霞ヶ関では解散が囁かれるようになっている。さらに、政治空白となるようなら景気、企業業績には厳しい状況となる。日頃、政治にはあまり影響を受けない株価も、「日本株式会社全体」の行方を左右するようなときは、やはり政治が株価に大きく影響する。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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