ホンダ、自律行動できる人間型ロボット「新型ASIMO」を発表

2011年11月8日 11:57

印刷

新型ASIMO(画像提供:ホンダ)

新型ASIMO(画像提供:ホンダ)[写真拡大]

  • 3人が同時に発する言葉を聞き分けるASIMO(画像提供:ホンダ)
  • 片足ジャンプ(ケンケン)で歩行するASIMO (画像提供:ホンダ)
  • 水筒を握り、ふたを開け、紙コップに水を注ぐASIMO(画像提供:ホンダ)
  • 「Honda Robotics」のロゴマーク(画像提供:ホンダ)

 ホンダは8日、世界初の自律行動制御技術を新たに搭載した、ヒューマノイドロボット「新型ASIMO」を発表した。

 「新型ASIMO」は、自律性がさらに高まり、人の操作を介在せずに連続して動き続けることが可能となった。また、知能面、身体面ともに状況適応能力が格段に向上したことで、「多くの人が行き交うパブリックスペースや、オフィスといった環境での実用化に、また一歩近づいた」と同社はコメントしている。

 同社は、自律機械としてのロボットに必要な要素を、(1)とっさに足を出して姿勢を保つ「高次元姿勢バランス」、(2)周囲の人の動きなどの変化を複数のセンサーからの情報を総合して推定する「外界認識」、(3)集めた情報から予測して、人の操作の介在なしに自ら次の行動を判断する「自律行動生成」の3つに定め、これらを実現する技術を開発した。今回、周囲の人の動きに合わせて自ら行動する「判断」能力を備えたことによって、「新型ASIMO」は、これまでの「自動機械」から「自律機械」へと進化し、人と共存する環境下における実用化への期待がさらに高まった。

 具体的には、人間の視覚や聴覚、触覚などに相当する各種センサーからの入力情報を総合的に判断し、周囲の状況推定や、自身の対応行動の決定など、知能化の基盤技術となるシステムを新たに開発。この技術により、行動の途中であっても、相手の反応に応じて別の行動に変更するなど、人の動きや状況に合わせた応対が可能となった。また、視覚センサーと聴覚センサーを連動して、顔と音声を同時に認識することによって、人間では難しい、複数人の発話を同時に聞き分けることが可能となった。また、あらかじめ設置した空間センサーからの情報に基づいて、人の歩く方向を数秒先まで予測して、自らの移動予測位置と衝突する場合は、別の経路を素早く生成して歩くことも可能となった。

 さらに、「新型ASIMO」は、従来よりも脚力をアップした。脚の可動域を拡大したことに加え、着地位置を動作中に変更できる新たな制御技術を取り入れたことで、歩行や走行、バック走行、片足ジャンプ(ケンケン)、両足ジャンプなどを連続して行えるようになった。このように俊敏に動けるようになった結果、凹凸のある路面でも安定姿勢を保って踏破するなど、変化する外部の状況に、より柔軟に適応できるようになった。

 また、手のひらに触覚センサー、5指それぞれに力センサーを内蔵し、さらに各指を独立して制御する高機能小型多指ハンドを開発。「新型ASIMO」では、これを視覚と触覚を合わせた物体認識技術と組み合わせることで、例えばビンを手に取ってふたをひねる、液体が注がれる柔らかい紙コップを潰さずに把持するなどの作業を器用に行うことが可能となった。また、複雑な指の動きを必要とする手話表現も可能となった。

 ホンダは、「技術は人のために」という創業の精神のもと、新しい製品の創造や技術の進化に挑戦している。ヒューマノイドロボット研究についても、人の役に立ち、人間社会の生活を豊かにするという夢の実現に向けて、ヒューマノイドロボット「ASIMO」の開発を行ってきた。今回、同社は、このようなヒューマノイドロボット研究から生まれるロボティクス技術と応用製品の総称を「Honda Robotics」と定め、ロゴマークを設定。今後、引き続きヒューマノイドロボット研究を続けていくとともに、量産製品への転用や応用製品の実用化にも積極的に取り組んでいくという。

関連記事