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昨今の相場はノイズばかりが前面に出て聞こえるはずの相場の声が・・・=浅妻昭治
年は取りたくないものである。私事で恐縮だが、テレビの音が聞き取り難くなってだんだんテレビのボリュームが大きくなり、家族の顰蹙を買うようになった。[写真拡大]
【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】
年は取りたくないものである。私事で恐縮だが、テレビの音が聞き取り難くなってだんだんテレビのボリュームが大きくなり、家族の顰蹙を買うようになった。聴覚障害、難聴かと心配になって耳鼻咽喉科を受診した。担当医は、聴力検査をしたうえで心配はないという。高い周波数の音への聴力が低下する一部老化現象はあるが、標準値は超えているとの診察結果である。
テレビのボリュームが大きくなるのも、聞き手の受信側の語音明瞭度に問題があるのではなく、発信側の放送局側の発音明瞭度の低下が原因であるとの見立てである。NHKのアナウンサーのように、ボイストレーニングをきちんと受けて、滑舌が回り、話す速度もゆっくりなら明瞭度に問題はないが、最近は、粗製濫造タレントが出ずっぱりで滑舌は回らず、そのうえ早口のスピード違反が横行しているから、明瞭度が低下して音量を上げてしまうのだという。名医の診断に畏敬の念を強めて安心するとともに、これはことによったら現在の株式投資にも当てはまるのではないかと妙な納得をした。
「相場は相場に聞け」という相場格言がある。先入観に捉われずに素直に株価が発する声(情報)に耳をそばだてれば、自ずと株価の方向、「買い」か「売り」か、それとも「休め」かが聞き分けられ、株式投資のリスクを最小化し、リターンを最大化できるという教えである。ところが、昨今の相場は、この相場の声が聞こえ難くなっているのである。ノイズばかりが前面に出て、聞こえるはずの相場の声を覆いつくしてしまうのである。
例えば、欧州の債務不安も、ギリシャの国民投票回避で本当に解決に向かっているのかどうかの情報は錯綜して、振り子は「売り」から「買い」まで何回も行きつ戻りつを繰り返すばかりである。決算発表にしても、下方修正をした銘柄に下げる銘柄もあれば上げる銘柄もあり、一方、上方修正した銘柄にも、買われる銘柄もあれば売られる銘柄も混在して方向性が、とんと定まらない。
このノイズ相場は、名医の診断に従えば、聞き手サイドの投資家に問題があるのではなく、発信側のマーケットに問題があることになる。世界にはマネーが溢れ返って一億総投機化どころか、七十億総投機化し、一分一秒を争って強気と弱気が交錯し高速スピード化をしているのである。これでは、滑舌が回らず早口でまくし立てる粗製濫造タレントと変わらない。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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