黒板に爪の音、何がそんなに不快なのか?

2011年11月2日 11:00

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記事提供元:スラド

 cheez 曰く、

 黒板を爪でひっかく音の何が人間にとってこれ程不快なのかを明らかにした科学者らがいるそうだ (ScienceNOW の記事本家 /. より) 。

 この研究によると黒板を爪でひっかく音は、皿をナイフでひっかく音や発泡スチロール同士がこすれる音など複数のサンプルの中で最も不快に感じる音であったという。人間が不快に感じる音は可聴域の中間領域にあることは今までも分かっていたが、今回の研究はこれを更に掘り下げるものであったとのこと。実験ではこの不快な音を分解し、特定の周波数を弱めたり抜いたり、音程や音色、また雑音部分のみを抜き出したりした上で被験者に聴かせたとのこと。また音源を明らかににした場合と、現代音楽の曲であると伝えた上で聴かせるといった試みも行われた。被験者には音の不快度を評価してもららうと共に心拍および血圧、また皮膚の電気抵抗といった身体的反応も測定した。

 実験の結果、人は 2000 〜 4000 Hz の周波数を最も不快に感じることが明かになった。人間の話し声の周波数は 150 〜 7000 Hz の間にあり、驚くべきことにこの不快な範囲は人間の声にも含まれることが分かった。黒板を爪でひっかく音もこの周波数範囲を取り除くと格段に聴きやすくなり不快度も軽減したという。他の周波数帯や雑音部分を取り除いても差はみられなかった。

 現代音楽と伝えられてこの音を聴いた被験者は音源を知らされた被験者よりもこの音を不快と評価する傾向が少なかったが、両者ともに皮膚の電気抵抗から示唆される不快度は変わらなかったという。また、研究者らは人間の耳道がこの周波数域を増幅する形状となっているのではないかと考えているそうで、これが不快度を助長しているのではないかとのことだ。

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