【読者と一問一答】長期投資でもインサイダー違反となるのでしょうか?

2011年10月27日 16:48

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  【問い】 インサイダーについて質問します。短期投資ではなく、長期投資で保有の銘柄を売却した時、私にとっては、まったく偶然に「材料」が発表となったときでも、インサイダー取引違反となるのでしょうか。

  【答え】 まず、お断りしておきます。法律の専門家ではありませんから、正しいかどうかは分かりませんのでお含みおきください。

  一般的にはインサイダー取引は、比較的短期間での売買が対象となっているようです。向こう1ヶ月以内に発表となるような情報を公表前に知って売買する場合です。

  ここでの質問は、たとえば10年前くらいに買って持っていた銘柄をなんらかの理由で売却された場合のことだろうと思います。売却したその日に偶然に材料が公表された、というケースはないとは言えません。その場合、ポイントとなるのは、材料が「好材料」か「悪材料」かということがあると思います。

  たとえば、10年前に買った銘柄に好材料が出たとしても、そのことを10年前に何月何日に好材料が出ると予想して投資することは困難です。ただ、同じ長期投資でも、公表材料が「悪材料」の場合は事情が違ってくる可能性はあると思います。当然、悪材料の場合は、株価が下がるからです。知っていれば、損失をまぬがれることになるからです。本人は悪材料を知らなかったとしても、売却時期と悪材料公表が重なると、一応、「疑われる」可能性はあると思います。とくに、株数が多かったりすれば、なおさらです。多分、当局からは、次のように聞かれることもあると思います。「本当に知らなかったことを証明しなさい」と。本当に知らなかった、偶然に材料が出た、ということを証明することは大変難しいことです。

  また、「売る」という行為の中には、現物株の売却のほかに、空売り(信用売り)もあります。仮に、純相場感で空売りをした場合でも、偶然に悪材料が出て株価が大きく下がって利益を得ることになれば疑いの目でみられるでしょう。空売りでなくても、悪質なケースでは、会社の経営不安等を社員や取引関係者が事前に掴んで、現物の持株を売り逃げすることも過去にはありました。こういう悪質なケースを取り締まることがインサイダー規制の主たる目的です。善良な投資家を縛るものではないのです。

  ざっくり捉えれば、長期投資より短期売買のほうがインサイダーに抵触する可能性は高いと思います。善良なる長期投資の方はあまり神経質になることはないと思います。ただ、デイトレで短期売買を中心とされる方は、できるだけ売買高が多く、アナリスト等の情報量の多い銘柄を選ばれるのが安心だと思います。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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