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自己責任の「投資」は、責任なすりつけ合いの「投機」に変じる?=浅妻昭治
ボヤキ漫才の決めゼリフではないが、「責任者出て来い!」とドツキたくなる相場シーンが多過ぎる。例えばオリンパス<7733>(東1)である。[写真拡大]
【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】
ボヤキ漫才の決めゼリフではないが、「責任者出て来い!」とドツキたくなる相場シーンが多過ぎる。例えばオリンパス<7733>(東1)である。たった1週間で年初来安値まで5割安した株価急落の責任が、解職された同社のマイケル・ウッドフォード前社長にあるのか、それとも解職決議をした同社取締役会にあるのか、まだシロクロの決着がつかない。
九州電力<9508>(東1)のヤラセ問題も、調査の最終報告書が提出されてからかえって問題は紛糾し、責任問題が不透明化した。大王製紙<3880>(東1)の元会長への巨額融資問題も、まだ藪の中で刑事事件に発展するのかしないのか予断を許さない。
オリンパスと並んで流入している短期資金を二分している東京電力<9501>(東1)も、原発事故の避難指示・警戒地域から遠く首都圏にまで広がったホットスポットの放射性物質の除染に責任問題が発生するのかしないのか曖昧である。
いまは経済産業大臣にピンチヒッター登板している枝野幸男前官房長官は、在職中に放射能汚染については、当時の記者会見で「直ちに健康被害に影響はない」と繰り返したが、この発言の責任の取り方について、その後、発言したとは聞こえてこない。九州電力の責任問題を声高にあげつらうほどの責任の取り方をしているのかと首をかしげたくなるばかりである。
ギリシャで緊縮財政に反対したデモ隊や、ウォール街の反格差デモでプラカードを掲げた参加者も、責任追及のシュプレヒコールを上げたが、責任者が誰で、どこに隠れているのか、兜町の投資家と同様に、もどかしさと苛立ちを感じたと想像されるのである。責任所在と責任者が不確かなままでは、問題は、いつまでもアク抜けとはならず、もちろん一件落着とは程遠い。
下半期入りした株式相場は、すでにこんなアゲインストな環境のなかで3週間を経過、兜町への流入投資資金は、ますます先細りし値動きは小幅化、膠着商状を濃くしている。最後の1週間、いよいよ本格化する9月中間期決算の発表を材料にした業績相場の発進にわずかに期待が残るが、それもせいぜい好業績銘柄の個別株物色に終わる可能性もないとはいえない。勢い株式投資は、リスク回避優先で、目先の値幅取りに終始し、自己責任の「投資」は、責任なすりつけ合いの「投機」に変じることになる。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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