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西村日銀副総裁「バブル経済もリーマンショックもギリシャ危機も『人口動態の変化』が原因」と発言

日銀の西村清彦副総裁は、アジア開発銀行研究所・金融庁共催の会議で「アジアの視点を踏まえた、マクロプルーデンス(信用秩序維持策)政策の枠組み」と題して講演したが、その中で、経済、金融極めて興味深い問題点を指摘した。[写真拡大]
■「霞ヶ関発・兜町着」直行便
日銀の西村清彦副総裁は、アジア開発銀行研究所・金融庁共催の会議で「アジアの視点を踏まえた、マクロプルーデンス(信用秩序維持策)政策の枠組み」と題して講演したが、その中で、経済、金融極めて興味深い問題点を指摘した。
それは、3年前のリーマンショックも、20年前の日本におけるバブル経済の崩壊も、そして現在、ヨーロッパが直面しているソブリンリスクにも、その発生には「一つの共通点」があるというのだ。その共通点とは「人口問題」だという。つまり、金融危機の背景にある「人口要因」というファンダメンタルズがあるという。講演内容は次の通り。
(1)金融危機発生の要因として、別のファクターの重要性を強調しておきたい。それは「人口高齢化」という人口動態の変化だ。です。日本、米国、欧州において、バブルの生成と崩壊、およびその後の金融危機は、概ね人口ピラミッドの転換点に一致しているようにみえる。
(2)「何人の生産年齢人口で非生産年齢人口一人を支えているのか」という「生産年齢人口・非生産年齢人口比率」をみてみると、日本の生産年齢人口・非生産年齢人口比率は1990年頃にピークに達したが、その翌年の91年が、まさにバブル景気のピークだった。
(3)米国の生産年齢人口・非生産年齢人口比率は2005年から2010年の間にピークを迎えたが、米国の「サブプライム・バブル」は2007年がピーク。現在、ユーロ圏で経済的に苦境にある国々も、日本や米国と同様のパターンを辿っている。
(4)すなわち、アイルランドとスペインの生産年齢人口・非生産年齢人口比率は時間的に類似した経過を辿っており、ともに2005年頃にピークを付けたが、これは、それぞれの国における資産バブルのピークに対応している。ギリシャ・ポルトガルの生産年齢人口・非生産年齢人口比率のピークは2000年頃で、ここでの重要なポイントは、近年の金融危機はいずれも、人口動態の転換点近辺で起こっているということだ。
(5)「ライフサイクル仮説」-より厳密に言えば「世代重複モデル」は、人口動態の変化が資産価格の重要な変動要因の一つであることを示唆している。すなわち、資産とは、若者にとっての将来に備えた貯蓄手段であり、高齢者にとってはそれを取り崩して消費に充てる手段だ。したがって、若者と高齢者の比率は、これらの資産への需要と供給を決定する要因となる。
(6)最近の危機の歴史も、このような捉え方と整合的であるようにみえる。1955年以降の日本の実質地価(全国・全用途平均)を、生産年齢人口・非生産年齢人口比率と並べて見ると、若年層の相対的な多さは、地価の急上昇に一致しており、逆に、高齢層の相対的な多さは、地価下落につながっているようにみえる。同様に米国でも、生産年齢人口・非生産年齢人口比率の上昇は、資産価格バブルと一致している。また、2007年のバブル崩壊以降、資産価格は生産年齢人口・非生産年齢人口比率の長期的な動きを追いかけているように見える。同様のパターンは、アイルランドやスペインでも同様に窺われる。
「大胆な問題指摘」ではあるし、言われてみれば、確かにその通りであるように思われる。だが、西村総裁は次のように「断わり」を入れることも忘れない。
(1)この人口要因が、資産価格バブルの原因であり、それが危機につながったと言っているわけではない。資産価格バブルではなく、公共部門の「バブル」があったギリシャやポルトガルの例も示す通り、危機の原因は他にも存在する可能性があることは言うまでもない。また、同様の人口動態の変化を経験しながら、それが金融危機にはつながっていない国々も存在する。
(2)私の趣旨は、多くの国において、(生産年齢人口・非生産年齢人口比率の増加といった)好都合な人口要因が過剰な楽観主義に結び付き、経済主体がリターンの増加を企図して様々な形で「レバレッジ」を増加する一因となった可能性を指摘することにある。
(3)別の言い方をすれば、資産バブルは、人口動態の変化という長期の「波」の上で踊られた「ダンス」と言えるかもしれない。同様に、生産年齢人口・非生産年齢人口比率の急激な低下は、金融面での過剰な蓄積の解消を困難にし、金融危機後のバランスシート調整を、長期かつ厳しいものとする方向に働いているように思われる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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