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トラウマを逆撫で!安住淳財務相が「深刻度が増している」と発言=浅妻昭治
何ともしんどいことである。年収が4割も減ったというのである。テレビのニュース番組が映し出したギリシャの反政府デモに加わっていた教員のインタビュー発言だ。デフォルト(債務不履行)回避に向け、欧州連合(EU)の金融支援策の見返りに財政健全化計画の強化が求められ、それだけ国内への締め付けが厳しくなっているということだろう。[写真拡大]
【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】
■「縮み志向」の先に何が見えるのか不透明化
何ともしんどいことである。年収が4割も減ったというのである。テレビのニュース番組が映し出したギリシャの反政府デモに加わっていた教員のインタビュー発言だ。デフォルト(債務不履行)回避に向け、欧州連合(EU)の金融支援策の見返りに財政健全化計画の強化が求められ、それだけ国内への締め付けが厳しくなっているということだろう。
このテレビニュースを見た日本の投資家の間でも「失われた10年」のトラウマ(心的外傷)が、まざまざと蘇った向きがあったのではないか?バブル経済が崩壊して金融機関、上場会社がバタバタと経営破たんをして、リストラの嵐が吹き荒れて、年収は見る見る目減りした。かつてのベストセラーではないが、「縮み志向の日本人」が、ますます縮んで「総中流化社会」といわれたその中流階級が崩壊して、少数の勝ち組と大多数の負け組に空中分解してしまった。
いまや「縮み志向」は、日本だけではなく、ギリシャはもちろん、米国でも欧州でも世界のトレンドとなって、しかも「縮み志向」の先に何が見えるのか不透明化してしまっている。
それなのにである。9月22日に閉幕した20カ国地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席した安住淳財務相が、閉幕後に記者団に、世界経済の現状は、リーマン・ショックがあった2008年より「深刻度が増している」と発言したそうである。この安住発言の衣の下には鎧が垣間見える。復興増税、消費税率引き上げの下心である。ギリシャの国家財政破綻を踏み台にして、うむを言わせず財政再建路線に舵を切ろうという内向きの政治姿勢以外のなにものでもない、「失われた10年」のトラウマを逆撫でして、本当に政策目的が実現できるか大いに疑わしい。
納税者はもっと賢いかもしれないのである。例え税率がアップされても、生活防衛意識や低価格志向を働かせて、乾いたタオルをさらに絞るように「縮み志向」をさらに強めるケースだって想定され、意図したほどの税収を確保できるかどうか保証の限りではない。消費税率を5%に引き上げた1997年も、税率アップを回避するために物々交換をアドバイスするノウハウ本や週刊誌の特集記事が、話題を集めた前例もある。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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