日立、EV用急速充電システムを「横浜三井ビルディング」に採用

2011年9月22日 16:23

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日立の電気自動車(EV)用急速充電システム(スタンド1台構成の仕様)(写真提供:日立製作所)

日立の電気自動車(EV)用急速充電システム(スタンド1台構成の仕様)(写真提供:日立製作所) [写真拡大]

 日立製作所は22日、三井不動産が、2012年2月の竣工に向けて開発中の「横浜三井ビルディング」に、コンバータ盤1台とスタンド2台から構成される電気自動車(EV)用急速充電システムを納入すると発表した。

 「横浜三井ビルディング」は、三井不動産の横浜駅エリアの「みなとみらい21地区」におけるフラッグシップタワーとなるオフィスビル。横浜市の環境性能格付制度である「CASBEE(建築物総合環境性能評価システム)横浜認証制度」の最高位であるSランクに認証されている。

 今回の採用は、環境に配慮した街づくりをめざす三井不動産の、同地区でのEVの快適な利用環境の整備に向けた取り組みのひとつとなる。

 同システムは、日立グループのEV用充電器・システムのラインアップとして今年10月1日から発売を開始する。主な特徴は、電力を交流から直流に変換するコンバータ盤と、充電を行うスタンドを分離することにより、例えば、コンバータ盤を地下に設置し、スタンドのみを駐車場に設置するなど、限られたスペースにおける様々な設置レイアウトへの対応を可能としている。

 また、コンバータ盤1台につきスタンドを最大4台設置することが可能。さらに、利用頻度によって、最大60kWの出力を、1スタンドあたりの出力値を15kW単位で設定することができる。これにより、空いているスタンドの余剰供給電力を他のスタンドに振り分け、出力を上げることで充電時間を短縮するといった、利用者の利便性を高め、かつ、より効率的な運用が可能になる。

 日立ではこれらの機能を生かし、EVの短時間での充電ニーズが高い大型駐車場を持つショッピングセンターや、自治体・公共施設、カーシェアリングステーションや高速道路のサービスエリアなどへの同システムの導入を図り、2012年度に120台の販売を目指す。

 今後、同システムと、日立が強みを持つEMS(エネルギーマネジメントシステム)やEVの車輌管理システム、EV充電器管理システムなどとの連携により、スマートシティー事業における中核製品として拡販を進めていく。

 さらに、企業のBCM(事業継続マネジメント)の見直しが進み、その対策としてEVやEV充電システム導入のニーズが高まっていることから、普通充電タイプの製品とあわせ、EV用充電システムのラインアップ拡充を図り、これらのニーズに対応していく。

 同システムは、今回の「横浜三井ビルディング」での採用以外にも、現在、日立がスペインアンダルシア州マラガ市や米国ハワイ州マウイ島で推進しているスマートコミュニティ・スマートグリッド実証事業においても採用が予定されている。また、国内における日立の各事業所においても、BCMの対策としての設置を検討している。

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