関連記事
【東日本大震災から6ヶ月】フシ目のマーケットを検証=犬丸正寛
3月11日(金)、14時46分に東日本を引き裂いた大地震と大津波から半年となる。マーケットでは、9月9日(金)がちょうど6ヶ月目のフシ目だった。[写真拡大]
【今日の出来事&マーケット】
■復興に動き出した政治と堅調な企業業績で「彼岸底」の可能性強い
3月11日(金)、14時46分に東日本を引き裂いた大地震と大津波から半年となる。マーケットでは、9月9日(金)がちょうど6ヶ月目のフシ目だった。
現地を見ていないので実感としては言えないものの、テレビ、新聞、雑誌等で受ける印象では、復興は遅れているようだ。指摘されているように政治の役割が批判される点はあると思われるが、それだけ、難しく大きい課題を抱えているということだろう。
いずれまた襲って来るであろう大津波を想定すれば海の近くの平坦地での生活は見直さなくてはいけない。高台の用地をどのように用意するのか。個人単位で対応できる話ではない。しかも、高台に新しい生活の場を設けたからといって生活の糧(かて)が確保できるわけではない。
とくに、被災地域が岩手県から茨城県まで広範囲に達しているため県単位の復興ではなく、東北地域全体の生活と産業が一体となった復興、再生計画が求められる。そのための企画立案と分析に時間がかかっていることは理解できる。
それも、一歩前進の雰囲気は感じられる。10日(土)の新聞、雑誌では第3次補正予算について復興関連7~8兆円という報道もあった。「1国2制度」を取り入れた規制ゼロのスーパー特区構想も報じられている。新政権発足と共に政治は動き始めてきたようだ。
震災が発生した3月11日(金)の日経平均は1万254円(前日比179円安)の安値引け。TOPIX(東証株価指数)は915ポイント(前日比15ポイント安)と同じく安値引けだった。その後、3月15日(火)に日経平均は場中(ザラバ)で8227円、TOPIXも同日725ポイントの安値をつけた。
そして、6ヶ月経った9月9日(金)の終値は日経平均では8737円、TOPIXでは755ポイントである。両指数とも3月15日の安値に対しては、かなり上の位置にある。
■ギリシャ問題あっても瞬間的か
一部では、3月安値を切るような急落が伝えられている。しかし、筆者はその可能性は皆無無とは言えないものの、可能性は小さいとみている。もしも、日経平均、TOPIXが3月安値を切るとすれば、その時の条件は何か。(1)ギリシャのデフォルト(債務不履行)によるEU等の金融パニック、(2)日本政府の復興に対する無策、(3)日本企業の業績悪化、などだろう。このなかで、ギリシャ問題は否定はできない。しかし、仮にそうであったとしても日本の市場には瞬間的な影響でとどまるだろう。
とくに、日本国民に「ギリシャのようになってはいけない」という危機感が強まり、「増税」に対し暗黙的了解が強まる。しかも、既に、復興に対し新政権は積極的に動き始めている。「無策」とはいえない。
また、企業業績の強いことがある。夏場の電力危機を見事に乗り切った。特に、日本企業はリーマンショックのあとの不況において経費削減等のスリム化をはかっている。その分、国内消費等には影響が及んでいるものの、企業は復興の青写真が示されるなら、いつでも前向きに転じる準備はできている。9日現在の日経平均の予想1株利益は672円と高水準をキープできている。
日本には、春と秋の「彼岸」がある。先祖の墓参りをして、苦しい中にも恵まれた国に感謝する。相場もこの彼岸を境として転機となっていることが多い。折りしも、アメリカでは日本の彼岸に当る日に、FOMC(公開市場委員会)を開いて金融政策面からの景気テコ入れを発表する見通し。動き出した野田新政権に期待して、「彼岸底」を信じてみたい。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)
【関連記事・情報】
・相場巧者は期待・悲観の大きさと現実との差を計る=犬丸正寛の相場格言(2011/09/02)
・株は自分の土俵で稼げ=犬丸正寛の相場格言(2011/09/01)
・【太陽光発電関連特集4】住宅用太陽光発電システム市場の推移は拡大基調(2011/07/21)
・【クラウドコンピューティング特集(6)】国内IT業界大手も事業展開を強化(2011/06/21)
※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク